産業保健コラム

加藤 ゆみ


所属:オフィス カーム

専門分野:産業カウンセリング・キャリアコンサルティング

時代による『当たり前』の変化

2023年2月1日

 先日ある企業で管理職対象に、パワハラの研修を実施していました。「今の若い人たちはストレスに弱いです。なぜなら親にも学校の先生にも怒られていないので、入社して初めて上司にきつく怒られて、しんどくなってしまう人たちもいます。」と説明したところ、ある管理職の方が「そういう若者に自分らが合わせなあかんのは、おかしいやないか!」と発言されました。確かにその管理職の方の言い分は良くわかります。私自身も、厳しく指導されたからこそ成長できた実感もありますし、若い人たちの意見に違和感を覚えることもあります。ただ、時代による考え方や傾向の変化は確かにあって、それに抗うのは難しいことも多いように思います。

 今年の箱根駅伝を制し、監督として最後に駅伝三冠を果たした駒澤大学・大八木監督の言葉からも、その変化を感じます。これまで「男だったらいくぞ!」と常に厳しく叱咤激励してきた監督が、今年は「信じているぞ」「いいぞ」など、選手を認める言葉がけをされていました。大八木監督自身も「子供たち(学生達)の性格も時代とともに変わってきているので、最近は納得してもらう指導に変えています」と語っておられました。厳しく叱る指導から、学生自らが納得して進める指導へ、その変化が今年の駒大の勝利につながったのではないかと思いました。

 時代によって、『当たり前』は変化していきます。色々な世代の人たちが共に働く職場において、自分の『当たり前』を押し付けず、お互いの『当たり前』を理解し折り合いながら、変化に柔軟に対応していくことが大事なのかもしれません。

加藤 ゆみ