産業保健コラム

埜村 順子


所属:株式会社ウェル・カム 代表

専門分野:正看護師・精神保健福祉士・産業カウンセラー・第一種衛生管理者・介護支援専門員

治療と職業生活の両立支援

2017年4月3日

 平成28年2月厚生労働省から「事業場における治療と職業生活の両立
支援のためのガイドライン」が配布されました。このガイドラインでは、
治療が必要な疾病を抱える労働者が、業務によって疾病を増悪させること
がないよう、事業所において適切な就業上の措置や、治療に対する配慮が
行われるよう、関係者が連携し、環境整備と個別支援を実現しましょうと
いうものです。ここでいう疾病とは、がん、脳卒中、心疾患、糖尿病、肝
炎、その他難病などの反復・継続して治療が必要となる疾患をいいます。

 まだ始まったばかりの事業ですので、企業の集まる研修で、紹介する機
会を多く持ってはいますが、認知度は低いようです。まずは、「がん」か
らということで、「がんでもやめない、やめさせない。」ということを目
標として、取り組みを進めています。京都府は他府県に比べ「がん対策」
が進んでおり、がん拠点病院もたくさんあります。4月からは2か所の医
療機関で、定期的な相談窓口を設置する運びとなり、活動の幅が広がりま
す。京都産業保健総合支援センターでも来所にて相談日も設定されますの
で、少しずつ利用も増えるのではないかと期待しています。

 先日は、京都北部の事業所へ個別支援訪問をいたしました。がん患者さ
んではなく、長期療養者の復職でしたが、これを機会にどのような疾病で
も運用できるような両立支援計画・制度を作りたいというご相談でした。
メンタルヘルス対策ですでに復職支援制度のある事業所でしたので、それ
を踏まえて構築することをアドバイスいたしました。

 貴重な労働力である社員が、病気になっても働き続けられる職場は、
様々な立場の人にとっても働きやすい職場です。「治療と職業生活の両立
支援」は今後、企業全体で取り組むべき重要な課題であると考えます。

4月7日(金)14時から、「事例を通して考える両立支援」研修を実施し
ます。是非ご参加ください。

◎事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン
 http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000116659.pdf

◎4月7日研修申込はこちらから
  → https://www.kyotos.johas.go.jp/training

埜村 順子