産業保健コラム

辰巳 朋子


所属:田辺三菱製薬労働組合契約公認心理師・臨床心理士

専門分野:臨床心理学・産業カウンセリング

近頃のモヤモヤ・イライラ

2023年6月1日

 地震は続くし、天候は不順だし、コロナ感染はどうなっているかよくわからないし、なんか奇妙な事件の報道は続くし…こんな状態を私たちは「不安」と呼ぶことができます。カウンセラーたちは、なんとなくのぼんやりした恐れの感情や落ち着かなさと解説したり、何か良くないことが起こりそうだから準備をするよう、教えてくれているのだと説明したりします。こんにちは、カウンセラーの相談員、辰巳です。
 そして、地震や事故のような一気に破局が見える場合はその復興期に、感染症対応のように時間をかけて状況が変化していく場合は打ち出された社会政策の展開によって、社会不安の波が高くなるように思われます。皆が同じことを経験している一体感はなく、人によってさまざまに、なくしたものが異なり、受けた影響が違っていることがわかっているのです。職場の顔触れが変わり、クラスメイトやクラブのメンバー等同じ場所に集った仲間がいつの間にか変化しています。なじみの通りの店も変わっているかも知れません。
 状況の変化がある時には、不安になるのがヒトの正常な反応です。これまでに見慣れた顔触れが変わり、なんとなくわかりあえた安心感がなくなったのです。しかも、この「不安」という感情は私たちをソワソワとさせますし、時にはイライラする怒りの感情に化けていくこともよく起こります。語りやすい話題で妙に盛り上がったり、話し始めたことが終われなかったりすることが起こっていませんか。
 こんな気持ちが続くときには、次のような対応をすると少し落ち着いたり、心が整ったりすることが分かっています。

その1、自分が不安になっていることを認める(弱いからとか失敗したからではない)。
その2、その時(あるいは今)、すぐに出来る小さなことをする。
その3、不安が強くなると動けなくなることもあり、これも一つの適応の仕方と心得る。

 その2の最小の動きとして、「自分の呼吸に注目して、自分の体がふくらんだりしぼんだりするのを感じてみる」ということをご紹介して、このページを終わります。

辰巳 朋子