産業保健コラム

宮本 理惠子


所属:宮本社会保険労務士事務所

専門分野:社会保険労務士・産業カウンセラー

精神障害者の就職のむつかしさ

2015年2月2日

 精神障害者の就職困難を目の当たりにしました。京都障害者職業センターの求人のファイルを見てみると、そのハードルの高さにびっくりしました。
 こ、こ、これは・・・!! 無理~。
 なぜなら労働時間は1日6~8時間、週5日勤務、そしてスキルが必要という求人が案外多く(もちろん全部がそうではありません) 、まるで一般求人のような内容でした。これでは働くことが出来る人が限られます。
 「このような条件で働けるようになってから探しに来てね」と言われていると思い、時間のかかる問題には落ち込んでおられる障害者がおられるのが実情です。
 就労支援A型事業所においては、精神障害者の症状にあわせて、柔軟に勤務日数や繁務時間数を決定してくれる事業所もありますが、A型事業所であっても、1日7時間、週5日勤務が出来なければ採用出来ないと、不採用になった方もおられます。
 精神障害者にとって働けるということは、自己肯定と自己承認を高めるとともに自信と安心感を得、そして病状を回復していく一番の手段であり大きな意味があると私は思っています。
 就労支援B型事業所や就労支援移行型事業所も就労にむけての大切な場所ではありますが、お金を稼ぐことができません。やはりお金を稼ぐことより希望や目的がより一層深まるのではないでしようか。
 求人の条件に対応できるように症状が回復できるのを待っていたらいつになるか分かりません。柔軟に対応してくれる事業所が増えてくれることを望みますが、精神障害者の求人状況を見るにつけ、現実は厳しいと痛感させられます。
 私の友人が「日本でいちばん大切にしたい会社」という本をプレゼントしてくれました。その中に精神障害者の方々と働く場との「つながり」をつくる‘株式会社ラグーナ出版’、障害者の雇用に力を注ぐ‘株式会社大谷’を知りました。2社ともに障害者のための会社です。
 このような会社がどんどん増えて精神障害者の方が笑顔で毎日暮らしていけることを祈っています。

宮本 理惠子