産業保健コラム

三岡 千賀子


所属:三岡千賀子社会保険労務士事務所

専門分野:特定社会保険労務士・産業カウンセラー・キャリアコンサルタント

育児・介護休業法改正

2017年1月5日

 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する
法律」(育児・介護休業法)を改正する法律が平成28年3月29日に成立、
29年1月1日から施行されます。

 65歳以上の高齢者人口が総人口に占める割合(高齢化率)は6.7% (
平成27年)となり、急速な高齢化が進む中、要介護(要支援)の認定者数
は、この15年間で約2.79倍に増加しており、今後、介護が必要な家族を
抱える労働者数の増大が見込まれます。

 また、家族の介護や看護による離転職者数は、年間約10万人となってお
り、男性の割合も増加しています。

 今回の改正法では、介護休業の分割取得が可能となります。急性期対応
のほか、看取りの時期、介護施設間の移動、病院への入退院、要介護者の
状態が大きく変化した場合などに、通算93日まで、3回を上限として分割
取得できることになります。取得については、介護保険関係の手続き、ケ
アマネジャーとの打ち合わせ、通院など、丸一日取得する必要がないこと
も想定されることから、半日単位の取得も可能となります。

 また、介護のための所定外労働の免除が、介護終了までの期間について
請求することのできるようになります。

 介護は、長期間にわたって続く可能性があり、その状態は個人の状況に
よって異なり、家族の対応が必要になる時期も様々です。

 私たち誰もが家族を介護する可能性があります。介護は、家族だけの問
題ではなく社会全体の課題でもあることから、介護を理由とする不本意な
離職をすることなく安心して働き続けられるよう、企業においては長時間
労働の是正や柔軟な働き方の実現、情報提供・相談体制の充実など、個々
の事情に対応できる制度の構築が必要です。

厚生労働省「育児・介護休業法について」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html

三岡 千賀子