産業保健コラム

西村 和記


所属:SRオフィス西村

専門分野:特定社会保険労務士・産業カウンセラー・キャリアコンサルタント

指示・命令時の表現について

2017年5月1日

 人に指示や命令する時に、皆様はどのような表現をされるでしょうか?
周囲の人はどのような表現をされるでしょうか?指示や命令時の表現方針
は御社では決められているでしょうか?わざわざ教育や情報提供するまで
もなく、各自の常識や良識にゆだねられているのでしょうか?指示や命令
は簡潔に、具体的にとよく言われます。同じ内容の指示なのに、受けた相
手が嫌な気分になる表現もあれば、逆に感謝されることさえあります。こ
の差はどこから生じるのでしょうか?メッセージの送り手の問題でしょう
か、それとも受け手の問題でしょうか?

 人によっては、指示や命令をする時相手に反感や諦めを生じさせたり、
さらには徹底的に痛めつけるような言い方をされていることがあります。
私などはそのような言い方を耳にすると、仕事関連の場でありましたら、
「今の表現でしたら、相手を嫌な気分にさせたり、痛めつけるのが目的に
なっていますよ。目的は何ですか?」と素直に声をかけます。また「まだ
わからないの」とか「いい加減覚えてよ」など、自分のイライラをそのま
ま言葉にされている人もいます。思ったことをそのまま表現できる方はう
らやましいと思いますが、業務上のやり取りとしては、周囲のパフォーマ
ンスを下げかねません。

 指示、命令を伝える時率直に具体的に分かりやすく表現するだけでも、
仕事をしやすい環境つくりに貢献できます。何のために言葉をかけるのか
相手を痛めつけるためなのか、自分がすっきりしたいためなのか、などを
心にとめて発言するだけでも、表現の仕方を変えられます。受け手として
も、相手の表現の目的をとらえるようにしますと、痛めつけられるような
表現をされたとしても、いくぶん耐性があがります。また、受け手のパフ
ォーマンスを下げるような言い方を耳にした時には、周囲の人や上司が、
率直に別の表現を提案できるような職場風土であれば救われます。

 政府が3月28日に決定した「働き方改革実行計画」の工程表の中に、メ
ンタルヘルス、パワーハラスメントの取組強化があげられています。産保
センターでも各種支援事業がありますので、どうぞ広報等をご覧頂きご利
用いただくようお願い致します。

西村 和記