産業保健コラム

小澤 裕美子


所属:オザワ社労士事務所

専門分野:特定社会保険労務士・産業カウンセラー・キャリアコンサルタント

「若年労働者のセルフケア教育」について

2016年6月1日

 すでに、チラシ等でご案内していますが、今年度から、当センターの
「メンタルヘルス対策支援事業」の中で、新たに「若年労働者教育への講
師派遣」が加わっています。
 この事業は、当センターのメンタルヘルス対策促進員が事業場に赴き、
事業場に就労して間もない若年労働者に対し、自殺予防等のためのセルフ
ケア教育や研修を実施するというものです。 
 この背景には「平成27年版自殺対策白書」(以下「白書」といいま
す。)において『「勤務問題」に関し大きな負担を抱えやすい傾向のある
20歳台のメンタルヘルス対策が重要である』とされていることもあり、新
入社員や20歳台の若手社員を対象としてセルフケア教育・研修を実施する
ことになりました。
 白書では、『20歳代の若者が「勤務問題」に悩んでいることは、自殺者
ばかりでなく、若年労働者全体に共通する傾向でもある。厚生労働省の
「平成24年労働者健康状況調査」によると、強い不安、悩み、ストレスを
感じていると回答した者のうち、「職場の人間関係の問題」、「仕事への
適正の問題」、「仕事の質の問題」に対して強い不安、悩み、ストレスと
して挙げている者の割合は、20歳代で高く、30歳代、40歳代と年を経る
ごとに低下していく傾向がある。また、「仕事の量の問題」については、
30歳代が最も高くなっているが、20歳代は30歳代に次いで高い割合で
ある。』と述べています。
 話は変わりますが、京都府は、昨年7月に若年労働者の就職の支援、ス
キルアップ、職場への定着のために、「京都府若者の就職等の支援に関す
る条例」を制定しています。
 この条例の中で、若者の職場への定着を支援するために社会保険労務士
会との連携をする旨も記載されています。具体的には、「就労環境改善・
職場定着推進事業」として、社会保険労務士が職場を訪問し、職場環境改
善や若者の雇用定着のためのアドバイスを行うというものです。本題のセ
ルフケア教育のお話からは、外れるかもしれませんが、若年労働者を支援
する枠組みは多々あることがわかります。
 新入社員が4月に入社されたとすると、6月で3ヵ月目になるかと思い
ます。
 若年労働者に対して、メンタルヘルス不調の予防のために、ストレスと
は何か、ストレスに気づき、ストレスを和らげるためにはどうしたらよい
か等を学んで頂くセルフケアの研修を実施することは、雇用定着のために
もプラスになると思います。
 実際にセルフケア教育について、企業様に概要をご説明しましたとこ
ろ、「今まではそのような研修をしていなかったが、制度を利用して、新
入社員向けに研修をお願いしたい」というご依頼も頂戴しています。
 新入社員、中途採用、異動された社員の方々は、環境の変化が大きく、
メンタルヘルス不調になられるリスクが特に高いと言われています。
 社員の方ご自身に、ご自分の心の健康(メンタルヘルス)に関心を持っ
て頂く良い機会だと思います。ぜひ当センターの新しい制度をご利用くだ
さいませ。

小澤 裕美子