産業保健コラム

小澤 裕美子


所属:オザワ社労士事務所

専門分野:特定社会保険労務士・産業カウンセラー・キャリアコンサルタント

座りっぱなしに注意

2025年8月4日

 先日ニュースの中で「座りっぱなしを防ごう」という特集があった。長時間座り続けることの健康リスク、職場での対策例として、仕事をするときに昇降式デスクを利用して立って仕事をする、座って行う会議の中にストレッチをする時間を設けて身体を動かす、という方法が紹介されていた。ネットでも「座りっぱなし」で検索するとたくさんの情報がある。
 厚生労働省が10年ぶりに改訂した「身体活動・運動ガイド2023」(以下「ガイド」と呼ぶ)の中で、座位行動(座りっぱなし)という概念が初めて取り入れられた。ガイドでは座位時間が長いほど、死亡リスクが増加することが明らかなこと、1日60分以上の中強度以上の身体活動によって、座位行動による死亡リスクの低下が期待できることや長時間の座位行動をできる限り頻繁に(例えば、30分ごとに)中断(ブレイク)することが、食後血糖値や中性脂肪、インスリン抵抗性などの心血管代謝疾患のリスク低下に重要である等の報告があると書かれている。このガイドの一般向け周知用リーフレットには「座りっぱなし」という言葉が何度も出てくる。

 

 話はそれてしまうが、「座りっぱなし」という言葉を最初に見たとき、私は違和感があった。長時間座り続ける健康リスクを知らなかったこともあるが、「座りっぱなし」の「~っぱなし」という表現に引っかかったせいもある。「~っぱなし」は、辞書で調べると「その動作が持続しているさま、その動作をしたままで放置する意を表す。」とある。「~っぱなし」は「放す」という動詞が変化したものである。「蛇口から水が流れっぱなしになっている」「テレビをつけっぱなしで寝てしまった」等の文例が浮かび、比較的「あかんなあ」、という意味で私は「~っぱなし」を使っている。そのため「座りっぱなし」という言葉をマイナスイメージで受け取り「座って仕事をするのが悪かった?」と反発する気持ちもあり違和感を覚えたのだろう。一方で印象に残る表現でもある。「気をつけて」「注意して」の意味を込めて敢えて「~ぱなし」という表現を使っているのかもしれない。まだまだ暑い季節、エアコンは「つけっぱなし」でこまめに身体を動かそうと思う。

小澤 裕美子