産業保健コラム

小澤 裕美子


所属:オザワ社労士事務所

専門分野:特定社会保険労務士・産業カウンセラー・キャリアコンサルタント

身体活動基準・指針の改訂について

2023年10月2日

 10月は食欲の秋、芸術の秋、そしてスポーツの秋でもありますね。スポーツ、「身体を動かす」というつながりで、今回の表題について少し調べてみました。
 厚生労働省は「健康づくりのための身体活動基準・指針」を10年ぶりに改訂するため検討会を行っていることを知りました。前回は2013年に策定されています。
 身体活動基準・指針策定の目的は、ライフステージに応じた国民の健康づくりを推進し生活習慣病の重症化を予防することです。
 「身体活動」とは、運動だけでなく、日常生活における労働、家事、通勤、通学、趣味などに伴う生活活動も含まれます。
 2023年改訂案では、18歳以上については筋力トレーニング(筋トレ)を少なくとも週2日以上行うことを推奨する、座りっぱなしの時間が長くなりすぎないように注意し、できるだけ頻繁に中断することを推奨する等を基準・指針に盛り込む案が出ています。筋トレは、マシンやダンベルを使用するウエイトトレーニングだけでなく、腕立て伏せやスクワットなどの運動も含みます。案には科学的根拠として統計が示され、筋トレにより、筋力や身体機能・骨密度が改善、65歳以上の高齢者では転倒や骨折のリスクが低減できると示されています。
 先日「第14次労働災害防止計画」の研修を受講しましたが、その中でのお話を思い出しました。2020年の統計では、労働災害全体で転倒によるものが最も多く、60代以上の女性の転倒による労働災害発生率は20代の女性の約16倍という内容です。
 WHO(世界保健機関)の「身体活動・座位行動ガイドライン」には「少しの身体活動でも何もしないよりは良い。」と運動しない私への慰めのような言葉がありますが、身体を動かすことをもっと意識したいと思います。

小澤 裕美子