産業保健コラム

岩澤 正明


所属:岩澤労働衛生コンサルタント事務所

専門分野:労働衛生コンサルタント・産業カウンセラー

ストレスの対処について考えたこと

2016年2月1日

早いもので、新年のご挨拶をしたと思ったら、もう2月です。 昔から2月は「去る」といわれます。正月気分が抜けきれない間に、過ぎ去って行くことになりそうです。
昨今のニュースでは、米国利上げの今後の影響、中国経済の不振、原油価格の急落に伴う資源国経済の財政や金融的なリスクなど、先行きの経済状況への不安材料が多く掲載されています。社会面では、多くの若者の命が失われたショッキングなスキーバスの転落事故報道など、悪いニュースが続きます。今年はいい年になるよう祈ったことが、打ち砕かれそうになったのは私だけではないと思います。
日常遭遇する些細なできごとにおいても、その場面で怒りや悲しみ、不愉快な気分になることがあり、誰もが経験することではあります。
先日のできごとをご紹介いたします。神奈川県鎌倉へ帰省途中のことです。
駅で周りの人と同じように電車を並んで待っていたところ、電車が到着するや否や、 突然、私の前に高齢の女性が割り込んできたのが1回目です。 2回目は、福知山へ研修で出張へ行く朝でした。京都駅で同様な割り込みに遭遇しました。 その矢先、3回目はデパートで買い物しているときに並んでいるときに、割り込まれたのです。共通するのは人生経験豊富そうな高齢な方々です。このときはさすがに「怒り」がこみあげました。
「皆様方は、こうした場面ではどう対処しますか?」
自分の怒りを相手にぶつけスッキリしたいという方もおられるでしょう。そう自分の主張もしながら、相手に自分の気持ちを伝えたい。これができないと悶々した気分を引きずってしまうことにも繋がる方もおられるでしょう。
こうした場面で一言「皆さん順番をお待ちですよ、お急ぎなんですか?」と言ってみましょうか。
自分はどう考えたかというと「お急ぎの理由があったのでしょう(体調が悪く早く座りたいなど)」と自分が、相手より優位にたてるように考えました。争いを避け、軽く流しておこうと、一呼吸おいて気持ちを落ち着かせました。
日常のこうした小さなできごとでストレスが積み重り、それを職場に持込むと、業務の些細なミスやトラブル、ちょっとした人間関係でのいざこざが大きなストレスに膨れ上がってしまうことにもなりかねないわけです。
ストレスは溜め込まずに。小まめに発散することが肝要です。「忙しくてそれどころではないよ!」という声が聞こえそうですが。短時間でいいのです。
区切りをつけて自分なりの気分転換を図ってみることが有効ではないでしょうか。仲間とちょっとした会話で気分を変えられることもあると思います。
ストレスも全てが悪ではありません、カナダのセリエ博士の「ストレスは人生のスパイス」の言葉どおりです。仕事、勉強など、プレッシャーがある程度ないと、意欲が湧かずチャレンジもしないし、成長もあり得ない。ストレスが全くなければ、人間は動かなくなってしまうことでしょう。
サッカーの例をあげれば、大事な決勝戦でチーム全員がプレッシャーを感じながら試合に挑んでいるときに、熱狂的なサポーター応援も相まって、試合に勝利すればストレスも吹っ飛ぶことでしょう。負けても「気持ちを切り替え」次の勝利に向け再スタートの糧と前向きに考えればいいのです。失敗やピンチな状況も次に生かすチャンスという捉え方をすることが最も大切なことと教えられます。「tomorrow will be better day!」(明日はきっといい日になるから)

岩澤 正明