産業保健コラム

市 綾美


所属:オフィス リアン

専門分野:産業カウンセラー・2級キャリアコンサルティング技能士・社会福祉士

マスク酸欠とメンタルヘルス

2022年2月1日

マスクが必需品となって、かれこれ2年が経とうとしています。マスクをつけているとなんとなく息苦しく感じるものですが、実際、酸欠になる要件がそろっているようです。

マスク着用中は自分が吐いた息がマスク内に溜まり、その空気を吸うことになります。つまり、二酸化炭素を多く含んだ空気を吸うことになり、体が二酸化炭素過多の状態になってしまいます。また、マスクをしていることで、息を吸うのも吐くのも普段以上に頑張らなければならず、段々呼吸をする筋肉が疲れていきます。すると自然と浅い呼吸になってしまい、十分な酸素を取り入れることができなくなってしまうのです。

 

そうなるとメンタル面にも影響が出てきます。まず、脳の酸欠により頭がボーっとして、集中力や思考力の低下が起こります。さらに、脳に酸素が行き渡らないとセロトニン(精神を安定させる働きのあるホルモン)の分泌が滞り、不安やイライラが増幅されます。ただでさえ人はストレス状態にある時は、緊張・興奮している時と同様に呼吸が浅くなっています。これに物理的な酸欠が加われば、さらなるストレス状態に陥るという悪循環もあり得ます。

 

とは言え、呼吸は私たちがコントロールできるものです。マスクを外して、意識的に深い呼吸を行い、酸素をたくさん取り入れて心身をリラックスさせるよう心がけてみてください。結果としてメンタル面に良い効果があらわれます。

最も簡単にできるのは、深呼吸です。ゆっくりと、鼻から吸って、口から吐くこと。吸うと吐くを1対2の割合(例:3秒吸って6秒吐く)で、10回位繰り返すのがお勧めです。吸う時はお腹を意識して、そこに空気を入れるように。また、吐くときは口を「ほ」の形にすると、空気を遮るものがなくしっかりと吐き出せます。「ほっと一息」の「ほ」ですね。

口呼吸が習慣になっている人は、最初は上手くできないかもしれませんが、何度かやっているうちにコツがつかめてくると思います。

 

でも、一番いいのはマスクを手放せることです。今年こそ、一日も早くそんな日が来るといいですね。

市 綾美