産業保健コラム

市 綾美


所属:オフィス リアン

専門分野:産業カウンセラー・2級キャリアコンサルティング技能士・社会福祉士

いよいよストレスチェック制度が動き始めます!

2015年12月1日

今最も旬な話題ということで、ご期待に応えて(?)ストレスチェック制度のお話です。
事業者の懸念のひとつに、「高ストレスと判定を受けた人が面接を申し出てくれるのか」ということがあります。ご存知の通り結果は本人にしか通知されませんから、それが心配というわけです。私は、高ストレスと判定を受けた場合に取れる手段は3つあることを、従業員に説明していただくようお願いしています。
その手段とは、
  ①事業所に申し出て医師の面接を受ける 
  ②相談窓口(事業所内または外部委託)に相談する 
  ③外部の医療機関か相談機関へ行く 
の3つです。
 ①の利点は、就業上の措置等が必要であった場合、医師から事業所へ速やかに意見がなされる点です。一方で、面接を申し出た時点で高ストレスであったことが事業所に知られてしまうのが心配だと感じる従業員もいるでしょう。しかしながら、そのことをもって事業所が不利益な取り扱いを行うことは禁止されていますから、それも伝えます。
 ②の利点は、相談内容を事業所に知られることがないという点です。また、高ストレスでなくても相談できますし、事業所をよく知っている相談担当者であれば話も早いでしょう。就業上の措置等が必要であった場合も、希望すれば相談担当者から会社へ伝えてもらえます。ただし、その必要があってもどうしても事業所には伝えてほしくないという人には、その後のフォローをどうするかという問題が残ります。
 ③は事業所には何も知られることはありませんが、自費が発生します。また、就業上の措置が必要となれば、従業員自ら事業所に説明しなくてはなりません。
 これらのことを説明し、高ストレスであった場合は必ずいずれかの手段を取ってもらえるよう事前に伝えておくことが必要だと考えます。
 最後に老婆心ながら付け加えさせていただきますが、この制度のそもそもの目的は、メンタルヘルス不調者の「把握」ではなく「予防」です。予防の観点から面接や相談を勧めるのだということをしっかり伝えていただくようにお願いいたします。

市 綾美