産業保健コラム

須賀 英道


所属:龍谷大学 保健管理センター教授 センター長

専門分野:精神科診断学・メンタルヘルス教育

コロナ共存に生きる働き方改革

2020年12月1日

このコロナ事情の中で産業界において多くの変化が見られている。テレワークの拡大である。職場でなされていた業務が自宅で可能であるという評価が生まれたことである。内閣によるデジタル化推進の動きによって押印業務の廃止が進めば、一層テレワーク業種は増えていくであろう。これまでの社内会議もオンライン化したことは大きな前進である。しかし、コロナ警戒への低下とともに、仕事が再び職場での対面に戻っているという話も聞く。自宅での業務は特殊体制下であって、本来の仕事は社内で行うものであるという日本のかつての慣習があるためともいわれるが、基本は個人の就労意識であろう。職場にいないと仕事をした気になれないという意識付けが、就労者と会社側と双方にある限り、自宅でのテレワークは成り立たない。自宅での生活リズムの中で朝食後の午前と昼食後の午後の枠内に会社業務の短期課題設定ができ、夕食前には今日の課題は達成されたという自己評価がなされれば、どこにいても仕事をしたという意識付けはできる。こうした1日枠の短期課題設定ができると、これまでの通勤時間がフリーとなり、家族との憩いや趣味などの自分の楽しみの時間に当てることができる。これまでうつ状態となった就労者の大半が、自分の時間に対する%エフォートの8割以上が仕事であったという。自分が生きている現在、力を注いでいる分野の8割が仕事で、そこで何らかのつまずきがあると自己評価が否定的となりうつ状態に陥る。しかし、1日の時間のゆとりができることで仕事に対する%エフォートは下がり、家族との憩いや、自分の楽しみ、友人との繋がりなどに有効に時間を用いることで、仕事でのつまずきに対する全体的な評価は相対的に下がり、うつ状態とはならない。こうした自分の時間に対するゆとりの視点が、テレワークによって可能となるのである。そこには当然、自宅での自分の居場所も必要で、仕事時間と憩い時間での過ごす場所を変えるなどメリハリのある生活スタイルが望まれる。今後、コロナとの共存の中でますますこうした働き方改革は進むと思われる。

須賀 英道