産業保健コラム

長井 苑子


所属:(公財)京都健康管理研究会 理事

専門分野:呼吸器内科・膠原病・サルコイドーシス・産業保健

新型肺炎よもやま話

2020年3月2日

令和2年は平和にすぎてくれるかなと思いきや、1月早々から、COVID‐19感染症と新型肺炎の出現・拡大で、京都においても、ニュースから入る情報に脅かされはじめました。2月に入ってはクルーズ船の感染率の高さに驚き、乗船者が京都に戻られたとの情報もありますが、感染者はまだ2名との保健所からは重ねての情報に一安心?

 

一般の人々は、発熱、咳、鼻水、倦怠感などがおこると、すぐさま、診療所に受診されるようになりました。一方では、定期通院の患者さんから、電車で行くのがこわいから、お薬だけだしてほしいとか、今回はキャンセルしたいとかの連絡が少なからずみられるようになりました。タクシーに乗れば、運転手さんは、会社からマスク着用を義務つけられたと慣れぬマスクでしんどいですわとぼやかれます。製薬会社のMRさんたちは、大きな病院からは、出入り差し止めといわれて、仕事ができないと心配されています。私の関連した呼吸器の症例検討会も200人規模で、大阪市で開催される予定が、大阪府知事の自粛発現により中止となりました。趣味のギターアンサンブルの定期練習仲間からも神戸から電車でいくのが気になるので、2月はいきませんとの連絡がはいりました。個人レベルの周辺でも明らかに種々の影響がでています。

 

クルーズ船の防疫は日本としての急務でしたが、船の中の対応は、基本的にイギリス船籍をもつ船ですので、横浜港にいようが船の中は治外法権らしいです。中国からの入国者早期規制ができなかったか、中国の早期情報提供の遅れがすべてに響いてくるのかなど振り返りつつ、今後の感染拡大、肺炎患者の出現は気になるところです。大阪では500位のイベントが中止され、京都では観光バスは激減し、観光客も激減しています。経済的な波及効果も心配なことであります。不安な状況でおかしなパニック現象がおこらないことを望みたいと思います。それには、適正な、妥当な情報を迅速に出してほしいと思います。(2020.2.20執筆)

 

長井 苑子