産業保健コラム

粂 ゆかり


所属:社会保険労務士 粂ゆかり事務所

専門分野:特定社会保険労務士・産業カウンセラー・キャリアコンサルタント

バーンアウトは、まじめな人ほど起こりやすい ~自分への問いかけとして

2026年2月2日

 最近、私はときどき自分に問いかけます。「私は、本当に休めているだろうか」と。忙しさに追われる日々の中で、疲れていることに気づかないふりをしていないだろうか、と。

 

 バーンアウト(燃え尽き症候群)は、専門家の間でも「怠けている人ではなく、責任感が強く、まじめに頑張り続けてきた人ほど陥りやすい状態」と説明されています。私自身も、「まだ大丈夫」「もう少し頑張れる」と自分に言い聞かせながら、知らず知らずのうちに無理を重ねてきた一人です。バーンアウトは単なる疲労ではありません。意欲の低下、人との関わりへの負担感、仕事の意味を感じられなくなるなど、心身のバランスが崩れた結果として表れます。それにもかかわらず、多くの場合、「自分の弱さ」や「甘え」として受け止められてしまいます。私もかつては、そう考えて自分を責めていました。しかし今振り返ると、それは心が長い間、休めていなかったサインだったのだと思います。

 

 私は今、あらためて自分に問いかけています。
「今の働き方は、本当に持続可能だろうか」
「誰かに頼ることを、無意識に避けていないだろうか」
「休むことに、必要以上の罪悪感を持っていないだろうか」

 

 頑張る力は、仕事に向き合ううえで大切な資質です。しかし同時に、心身を回復させる時間を確保することも、長く働き続けるためには欠かせません。頑張り続けるためには、休むことを自分に許す勇気も必要なのだと、今は感じています。

 

 そしてこの問いかけは、個人だけの問題ではなく、職場全体で共有していく視点でもあります。誰もが安心して立ち止まり、声を上げられる環境があってこそ、真の健康経営や職場改善は実現していくのではないでしょうか。「今日の私は、昨日より少しでも自分を労われているだろうか。そして、周囲の人の小さな変化に気づけているだろうか。」そんな問いを持ちながら、「頑張ること」と「休むこと」の両方を大切にできる職場づくりを、これからも一人ひとりが意識していきたいものです。

粂 ゆかり