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治療と仕事の両立支援とは②就労世代のがん患者が増えている

 がんは身近な病気です。2018年に新たにがんと診断された人は約101万人。1日に2,767人、1分間に約2人という計算になります。そのうち3割は16~65歳の就労世代で、毎年約30万人が新たにがんと診断されています。その中でも特に乳がんや子宮頸がんに罹る30~40代女性や60歳以上の男女の割合が増えています。ここで日本の労働人口に触れますと、2015年には女性と60歳以上を合わせた労働人口が労働者全体の5割を初めて超えたそうです。つまり、労働者ががんに罹る確率は今後上昇していくことが推測されます。
 ところで、現在のがん治療では入院日数が年々減り、外来通院で抗がん剤治療や放射線治療を受ける人が増えています。仕事を持ちながら通院する人は約36万5千人。がんは「不治の病」から「長く付き合う病気」に変わってきているのです。
 しかし、がんと診断された労働者の3割は依願退職したり、解雇されたりしており、そのうち6割は「『治療に専念すべき』という思い込み」「他者からの助言・勧め」などの理由で、診断後すぐに、あるいは休職後一度も復帰せずに退職しています。また非正規雇用の制度上の問題もあります。
 がんなどの病気を抱えても仕事を続けたい人は92.5%。その理由は、生計維持、治療代のためはもちろん、働くことが生きがいでもあるためです。
 今回のお話をまとめますと、日本の労働人口は少子化により減少します。一方で、がんに罹る労働者は増える傾向にあります。医療は進歩し、病気になっても働き続けることができるにも関わらず、退職する人が多い。もったいない!!そこで始まったのが「治療と仕事の両立支援事業」です。
 次回は、両立支援に関わる法律についてご紹介します。