当センター事業のご紹介

治療と仕事の両立支援とは①

 「がん=余命僅か」。マスコミによる情報発信などから、私たちはこのようなイメージに頻繁に曝されます。しかし、がん専門の医師は「それは大昔、30年前の話。今はがんと共存する時代。」と言います。30年前と言えば平成元年(1989年)。3%の消費税が初めて導入された頃。そして、某有名男優Wさんが白血病を発症した年でもありました。
 医療の進歩により、今年4月に国立がん研究センターが発表したがん患者の10年後の生存率は3年連続で上昇しています。そうなると、「がんになったら仕事を辞めて残りの人生を。」ではなく、治療後の人生が長く続きます。上記の男優Wさんは5年後に再発した後、2003年に公開されたアメリカ映画で海外でも高い評価を受けました。一時は生命の存続を危ぶまれる状態だったそうですが、その後の回復、活躍ぶりは皆さんもご存知の通りです。
しかし、上記の生存率の上昇やWさんの復帰とは裏腹に、がんに罹った場合、職場復帰したくてもできない、または退職を余儀なくされる現実があります。病気になっても辞めずに安心して仕事を続けられるための支援が求められています。
 当センターでは、産業保健専門職の私と2名の両立支援促進員が「両立支援事業」を担当しています。サービスの内容は「治療も仕事も続けるための相談対応」「啓発セミナーの実施(周知活動)」「両立支援制度導入のサポート」「従業員と会社の間の調整支援」などで、すべて無料です。相談対応については、京都府下7病院に相談窓口を開設しており、烏丸御池にある当センターでも電話や来所での相談をお受けしています。
 次回はがんと就労の現状についてもう少し詳しく触れたいと思います。