健康情報"ほっと一息"

治療と仕事を両立するための情報⑤ 医療費や生活費が心配‥

  • 私たちが病院で医療を受けたとき、自己負担額は総医療費の1~3割ということですが、手術や入院だと1~3割と言っても高額になりそうですね。

  • そんな時に「高額療養費」という制度で自己負担を抑える仕組みがあります。

  • 具体的には?

  • 手続きすることで、一定限度額以上の医療費が免除されます。

  • そうなんですね。で、1か月の上限はいくらになるのかな?

  • 治療を受ける人の年齢、所得、総医療費によって計算式や額が異なります。

  • たとえばAさん(70歳未満・年収が約370~770万円・標準報酬月額28万~50万)の場合、1か月の総医療費が100万円かかると、3割負担では30万円かかりますね。

  • Aさんが高額療養費制度を使うと、最終的な自己負担額は8万数千円くらいになります1)

  • 手続きはどうするのかな?

  • 加入している健康保険から、あらかじめ「限度額適用認定証」を貰って医療機関に提示すると、病院窓口での負担は自己負担限度額だけになります2)

  • さらに1年間に3回以上、高額療養費に該当していた場合に4回目から自己負担額が少なくなる「多数回該当」もありますね。

  • 詳しいことは病院のソーシャルワーカーさんに相談するとよいです。

  • もう一つ、生活費が気になります。

  • 前号で、「私傷病による休職期間は無給となる会社が多い」と書きました。

  • そこで使える制度が「傷病手当金」ですね。

  • 傷病手当金は、健康保険に加入している労働者(被保険者)本人がもらえる制度です3)

  • 病気のため労務不能の日について、1つの傷病につき、通算して1年6か月の期間、給与のだいたい3分の2くらい貰えるのですね。

  • 傷病手当金を請求するには、「4日以上会社を休んでいること(連続して3日間会社を休み、その後も休んでいる)」などの条件があります。

  • また、所定の請求書、事業主の証明、療養担当者(医師)の意見書の提出が必要なんですね。傷病手当金以外にも利用できる制度がありますか?

  • 「医療費控除」制度があります。1年間(1月1日~12月31日)に「10万円」または「所得の5%」のいずれか少ない方を超える医療費を払った場合、その超えた分を所得から差し引くことができる制度です。この制度を利用するには確定申告が必要です。

  • 確定申告をすると、納めすぎた税金が還付金として戻ってくる場合があるんですね。

  • 耳慣れない制度が色々ありますから、調べたり専門スタッフに相談するとよいですね。

1)
入院時の食費負担や差額ベッド代等は含みません。
2)
限度額適用認定証を提出しない場合は、一旦窓口で立て替え払いをしてから、あとで健康保険に高額療養費分を請求します。この場合、立て替え分が戻ってくるのに3か月以上かかります。
3)
保険者が自治体である国民健康保険には傷病手当金制度はありません。
【参考資料】
がんと仕事のQ&A(国立がん研究センターがん対策情報センター)
https://ganjoho.jp/public/support/work/qa/