バックナンバー

**************************************************
京都産業保健総合支援センター メールマガジン 253号 2022/8/1

        発行:京都産業保健総合支援センター 所長 松井 道宣
        ホームページ:https://www.kyotos.johas.go.jp
**************************************************

     当センター主催 産業医研修会ついて

    8月研修会 キャンセル待ち受付中
    9月研修会 8月4日(木)午前 募集開始予定

  *セミナー・研修のご案内
   → https://www.kyotos.johas.go.jp/training    
  *日本医師会の産業医情報(資格更新の特例措置、研修会等)
   → https://www.sangyo-doctors.gr.jp/

**************************************************

————————————————————————————————–

   ◇ 京都産業保健総合支援センター ホームページ情報 ◇

1)京都労働局からのお知らせ 7月は、令和4年「STOP!熱中症 
 クールワークキャンペーン」の「重点取組期間」になります。

2)令和4年度「『見える』安全活動コンクール」実施について
————————————————————————————————–

**************************************************

◇ 「健康経営」って何? ◇
    産業保健相談員(医学)  酒井 泰彦

 ここ2年半、新型コロナウイルス感染症のパンデミックに世界中が振り回されてきました。わが国では飲食店への営業自粛要請が解かれ、野球やサッカーなども大勢の観客を入れて行われるようになりましたが、ここへきて再び感染者数が過去最高を上回り、怪しげな雲行きになってきています。

 コロナが拡がり始めた頃、“コロナ太り” という言葉をよく耳にしました。在宅勤務や車での移動が増え、動かずに食べるため肥えてしまうのです。3か月で15kgも体重が増えたという人がいたのには驚きました。ちょうどその頃、とある事業所の定期健康診断の結果をチェックしていると、血液検査で脂質項目の異常を指摘される従業員の数が前年に比べて異様に増えていました。“コロナ太り” で中性脂肪高値やHDLコレステロール低値を指摘される人が増えるのは当然なのですが、その事業所ではLDLコレステロール高値で引っかかる人が激増していたのです。LDLの値は食べ過ぎや運動不足との関連は少なく、主としてLDLの材料になる食べ物をどれだけ食べたのかを反映します。ですから大勢の従業員が一斉に高値になるというのは尋常ではありません。一体その職場では何が起こったのか?

 衛生管理者や管理職に過去1年の職場環境の変化について色々と尋ねた結果、たどり着いた原因は “社屋の建て替え工事” でした。老朽化した建物を順次壊して新築するため、最初に社員食堂が無くなったというのです。必然的に多くの従業員が近隣の飲食店で昼食をとるようになり、結果としてLDLの値が上がってしまったものと考えられました。これは決して飲食店が悪いというのではありません。限られた時間内に経済的に昼食をとるとなると、どうしてもLDLの上がりそうな物(牛丼、ラーメン、ハンバーグ、から揚げ、フライものなど)を選ぶ頻度が増えるということなのでしょう。奇しくも社員食堂がいかに健康的な食事を提供していたのかが明らかとなった事例でした。

 「健康経営」という言葉が使われるようになって10年ほどになります。従業員の健康の維持・増進を図ることにより生産性向上を目指す経営手法のことで、実践する企業が徐々に増えてきています。社員食堂のメニューを見直して積極的な栄養管理をしたり、従業員に歩数や消費カロリーを測定できるウェアラブル端末を配ったり、健康に良い習慣を実践している従業員にポイントを付与して景品と交換するなど。そんなに大がかりでなくても、健診を受けやすい職場環境にするとか、メタボに対する保健指導を徹底するとか、健康に関するセミナーを定期的に開催するというのもあります。国のほうでも「健康経営優良法人」という認定制度を設け、認定企業を優遇するなどして力を入れているようですから、ご存知のない方は要チェックです。“コロナ太り” の従業員を更生させるためにも是非何か始めてみてください。まぁ職場のコロナ対策も健康経営の一つと言えるかもしれませんが…。

健康経営(経済産業省)

https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kenko_keiei.html

**************************************************

◇  多様化社会とオンライン社会に感じること ◇
    メンタルヘルス対策促進員  今坂 一郎 

 現代の社会では、多様化という言葉が耳に届くことが多いです。しかし、現に使われている多様化という言葉の中身を深く考えますと、「いろいろあってよい」いわば「何でもあり」に行き着いている、といえば言い過ぎでしょうか。

 何か中心となる筋の通ったものが存在して、これと対比する形で多様化と称されるのであれば頷けるのですが、実際は単に表面だけを捉えて多様化と言われているように感じられます。つまり言葉で多様化と称するだけで思考停止してしまっている。さらに言えば、多様化社会で生じる多くの問題に対処するには、法律や規則やルールを定めるのが当然であるとして、この対処法が続けられている現状に不可解さを感じています。

 少し視点を変えます。長引くコロナ禍に遭遇して、人との関係におけるコミュニケーションの取り方が、対面を減らしてオンライン方式に移行することが増えています。私はオンラインを使う頻度はそれほど多くないのですが、オンライン会議の場では、ある種の息苦しさのようなものを感じます。人柄がよくわからない初対面に近い人が含まれる場合は、その息苦しさが大きくなります。他者とのコミュニケーションにおいては、眼と眼が会うことが特に重要と考えますが、オンライン会議では眼と眼が会うことが皆無に近いです。

 人間は身体と脳とが一体となっている動物です。これに関して書かれた著書(「脳と生きる」、藤井直敬・太田良けいこ)を興味深く読みました。この著書には、相対する人の相互の脳には、常に脅威と報酬という二つの要素が無意識的に働いていると書かれています。対面して眼が会うことで生じるリアルな共現在(キョウゲンザイ、臨床哲学者鷲田清一さんの言葉)の感覚が欠如し勝ちなオンラインの場では、人の認識が薄っぺらなものとなり、無意識による立体的な認識が欠ける可能性が高くなります。著書の結論では、相対する人の脳に備わる脅威と報酬の要素に着眼し、相手の脅威を取り除くことに努め、報酬を相手に与えてあげるのがよいと述べられています。

 かつて養老孟司さんが「脳化社会」のことを指摘されていました。近ごろその意味が強く実感され、脳の特性と人間に関する自問自答を続けています。

**************************************************

       産業保健スタッフ研修会のご案内

『働く女性のライフステージに応じたメンタルヘルスの起こりる問題点について』
  日時:令和4年8月3日(水)14:00~16:00
  会場:アーバネックス御池ビル東館 2階会議室
  講師:京都産業保健総合支援センター 相談員 河合 早苗
     京都府仕事と不妊治療の両立支援相談員 埜村 順子 氏

『事例を通して考えるメンタルヘルス不調者への対応』
  日時:令和4年8月26日(金)14:00~16:00 Web(Zoom)
  講師:京都産業保健総合支援センター 相談員 加藤 ゆみ

『「CREATE-SIMPLE法」を用いた化学物質のリスクアセスメントについて』

  日時:令和4年9月2日(金) 14:00~16:00 Web(Zoom)

  講師:京都労働局 労働基準部長 岸 泰広 氏

『企業における労働衛生管理のポイント』

  日時:令和4年9月13日(火) 14:00~15:30 Web(Zoom)

  講師:京都産業保健総合支援センター 相談員 桑村 明男

『歯科予防活動について』
  日時:令和4年10月26日(水)14:00~16:00
  会場:アーバネックス御池ビル東館 2階会議室
  講師:京都産業保健総合支援センター 相談員 吉川 洋史

詳細・お申込: https://www.kyotos.johas.go.jp/training#training02
   ※日医認定産業医の単位は付与されません。

**************************************************

   ◇ メンタルヘルス対策支援サービスについて(無料)◇

 メンタルヘルス対策促進員が事業場に赴き、お手伝いいたします。

 ・管理監督者教育への講師派遣
 ・若年労働者教育への講師派遣
 ・「こころの健康づくり計画」策定に関する支援
 ・「職場復帰支援プログラム」作成に関する支援
 ・ストレスチェック制度の導入や実施後の職場環境改善等に関する支援

  詳 細→ https://www.kyotos.johas.go.jp/mental

**************************************************
   ◇ 治療と仕事の両立支援サービスについて(無料)◇

当センターでは、治療を受けながら仕事を続けたい方、両立支援に
取り組む事業場の方からの相談に応じています。
https://www.kyotos.johas.go.jp/ryoritsu

*出張相談窓口を開設しております。【要予約】
 ・京都大学医学部附属病院  毎月第3水曜日( 9:30~12:30)
 ・京都府立医科大学附属病院 毎月第2木曜日(10:00~12:00)
 ・宇治徳洲会病院      随時
 ・京都市立病院       随時
 ・京都医療センター     随時
 ・京都第一赤十字病院    随時
 ・京都岡本記念病院     随時
 ・京都第二赤十字病院    随時
 ・京都桂病院        随時
 ・洛和会音羽病院      随時
 ・京都山城総合医療センター 随時
 ・市立福知山市民病院    随時
 ・京都府立医科大学附属病院 北部医療センター  随時

**************************************************
◆京都産業保健総合支援センターご利用案内◆
 https://www.kyotos.johas.go.jp/about
◆相談のご案内◆
 https://www.kyotos.johas.go.jp/consultation
◆研修・セミナーのご案内◆
 https://www.kyotos.johas.go.jp/training
◆図書・教材のご案内◆
 https://www.kyotos.johas.go.jp/material
◆産業保健新着情報◆
 https://www.kyotos.johas.go.jp/archives/news
◆メールマガジン(バックナンバー)◆
 https://www.kyotos.johas.go.jp/mailmagazine/back-number
**************************************************
発 行 人 :松井 道宣   編 集 人 :清水 和義
編集協力:産業保健相談員・メンタルヘルス対策促進員・両立支援促進員
発行/配信:京都産業保健総合支援センター https://www.kyotos.johas.go.jp