バックナンバー

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京都産業保健総合支援センター メールマガジン 228号 2020/7/1

        発行:京都産業保健総合支援センター 所長 松井 道宣
        ホームページ:https://www.kyotos.johas.go.jp
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当センター主催 産業保健研修会について

6月18日(木)より研修会を再開いたしました。申込受付は下記の通りです。

  7月開催研修会  申込・キャンセル待ち受付中
  8月開催研修会  7月1日(水)受付開始
  9月開催研修会  8月3日(月)受付開始
  お申込 → https://www.kyotos.johas.go.jp/training

 感染症対策により定員を減らしている関係上、研修当日の飛び込みでのご参加はお断りしております。また手指消毒・マスク着用等感染予防にご協力ください。なお感染状況等により、受付開始日の変更、研修の中止・延期をさせていただくことがございます。開催状況をホームページでご確認下さいますよう併せてお願いいたします。

※キャンセル待ちはホームページ「お問合せ」またはFAXにて、ご希望研修日、お名前、所属、連絡先、産業医更新期限、必要な残り単位数をご記入の上ご連絡くださいますようお願いいたします。
  HPお問合せ:https://www.kyotos.johas.go.jp/inquiry
  F A X :075-212-2700 

※当センターが実施する「産業医研修会」について、付与できる単位は「生涯研修」のみとなります。
「基礎研修」を受講される方は、日本医師会の研修会情報をご覧ください。
 →http://jmaqc.jp/sang/designated_training/index.php?start=50

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◇ 京都産業保健総合支援センター ホームページ情報 ◇
1)厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえた労働安全衛生法等に基づく健康診断の実施等に係る対応について
2)京都府立医科大学附属病院 精神科・診療内科
 「コロナの不安を抱えながら働くあなたへ」
3) 日本産業衛生学会 職域のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド
4) 厚生労働省 「新しい生活様式」における熱中症予防行動のポイント
5) 厚生労働省 企業向け 新型コロナウイルスに関するQ&A
6)厚生労働省 労働者向け 新型コロナウイルスに関するQ&A 
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厚生労働省
「新しい生活様式」における熱中症予防行動のポイント
  https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000642298.pdf
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◇ 今度こそ、咳エチケットは根付くのか ◇
    産業保健相談員(産業医学)  山田 達治

 高病原性鳥インフルエンザH5N1の脅威が高まりつつあった2006年頃から、我々は「レスピラトリーエチケット」の普及に努めてきた。2009年の豚インフルエンザH1N1パンデミックの際には、より親しみやすく「咳エチケット」と呼び変えられて人口に膾炙した。以降も季節性インフルエンザの時期には咳エチケットについて繰り返し教育した。それでも十分に浸透したとは言い難く、マスクなしで遠慮なく咳をする人は後を立たなかった。

 今回のCOVID-19パンデミックでは、人々はかつてなかった程にマスクの確保や使用に執心している。とはいえ、自転車走行中や人と接触しない広い場所でも強迫的なまでにマスクを装着するかと思うと、外したマスクを食堂のテーブルに置くような問題行動も散見する。十余年の啓蒙活動により咳エチケットが根付いたというよりは、恐怖心から、マスクの防御能力を過大評価して使用しているのだと思われる。

 咳、くしゃみをする時に、周囲に飛沫を飛び散らせないためにマスクをする、というのが従来の咳エチケットだった。加えて、大声で会話する際に発生し室内を浮遊するエアロゾルによる感染経路や、無症候感染でも他人にウィルスをうつす可能性が指摘され、咳やくしゃみがなくても、人と対話する時にはマスクを着けることが求められるようになった。咳エチケットは徐々に人々に理解されつつ、内容を進化させている。

 少し前まで、職場や電車の中でタバコを吸うのは当たり前の行為だったが、現在では分煙が徹底され、副流煙で苦しむことは稀だ。また数十年前の企業は大気や河川に遠慮なく有害物質を垂れ流したが、現在では環境にクリーンであることが重要な企業価値となった。人や社会の意識、行動、ルールは劇的に変わるものだ。我々は今まで、抗う術がないかのように季節性インフルエンザの大規模な流行を受け入れてきたが、人口の大多数が三密や適切なマスクの使用、手洗いを励行すれば、それを制御できる日もやってくるのかもしれない。

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◇ 田舎のメンタルヘルス事情  ◇
    メンタルヘルス対策促進員  武田 理栄子

 産業カウンセラーとして、不調の社員の「カウンセリング」の依頼を受けることがあります。

 心も体も疲れてしまい休職を余儀なくされた人達は、どの人も生真面目で、誠実で、少し融通が利かないところがあったり、負けん気が強かったりと、それぞれの気質の強弱はあるものの、多くは他人の視線を必要以上に気にする傾向にあります。そして組織の空気感に波長をあわせようと無理をします。その無理が体の不調や心の不調となっていくのです。

 私は京都北部を中心に支援活動をしていますが、田舎町ならではの事例をご紹介します。

 男性のAさんは50代です。職場での人間関係に心も身体も疲れ、しばらく休職をすることになりました。産業医からは「毎日30分程度は軽く運動をするように」といわれ、午前中自宅近くをウォーキングをすることにしました。田舎ですので歩くところはいたるところにあり、Aさんは家から近い畑のあぜ道を散歩することにしました。1週間ほど経ったある日、近所の人が「最近、ご主人の車がいつも家にとまってるけど・・・」とスーパーで奥さんに声をかけてきたそうです。そのことを聞いたAさんは「やっぱり・・・」ととてもブルーになりました。Aさんは実家近くに住んでいて、両親はすでに定年退職し、先祖からの田畑を守り、コメを作ったり野菜を作ったりしていて、Aさんも農作業の手伝いをします。Aさんに限らず、人口5万人程度の田舎町の生活様式は、親が近くに住んでいたり、兼業農家だったりする場合が多く、職場への通勤はたいがい車です。このような田舎では車は必需品で一家に一台ならず一人に一台という生活様式が多いのです。

 Aさんはウオーキングを始めた時から気がかりなことがありました。それは「ご近所の視線」です。車が動いていないと「今日は休み」で家にいるということが遠くからでもわかります。車が動かない状態が何日も続くと「仕事をやめたのか?」「病気か?」などと憶測を呼びます。職場での人間関係に疲れて休んでいるのに、ご近所の目も気にしなくてはならないAさんは、仕事を休んでいても気が休まらない状態でした。

 このままではご近所によからぬ噂が広まると気になったAさんは、自分から「生産調整で、遅出になったり夜勤に入ったりして、勤務が不規則です」とご近所のうわさ好きに話をしたそうです。そうやってご近所対策をしつつ、十分休めていないのに職場復帰を急ぐようになりました。町の図書館に行っても、コンビニに行っても誰かに会ってしまったり、見られたりしてしまいます。一人になれる安全な場所がなかなかありません。

 6月の梅雨時期には、地域のあぜ道の草刈りや公共の場所の一斉清掃があります。お盆の頃はお墓の周辺の整備作業があります。村の人が集まった際には作業をしながら「あそこのおうちでは息子が転勤になったそうだ・・・」とか「あそこのおばあちゃんは介護施設に入ったようだ・・」などの情報が入ってきます。一人暮らしの高齢者が多い田舎の村では防災や防犯にはとても有益な情報ですが、いいことばかりではありません。畑の草刈りの時期が遅れると、ご近所の人の口を通じて「草刈りが遅い」とか、草刈りの仕上げについて「あれでは・・・あかん!」とクレームが耳に入ってきます。自分の畑はこの前まで草が生い茂っていたにも関わらず・・・です。自分の家や畑の範囲の管理を怠ると容赦ない攻撃を受けることもあります。集落の人間関係は時には重いものがあります。

 不調で休んでいる別会社の社員に「ご近所の視線」について尋ねると「ご近所の視線は結構重い・・。だから私はいったん車でいつものように出かけ、車の中で休んだり、隣り町より遠くの図書館に行ったりしました。」とのことでした。田舎ならではの「視線」が心を不自由にさせます。都会の無関心と田舎のおせっかいの程よいバランスがほしいと思います。

 自然豊かな場所では、日々の暮らしも穏やかに過ぎていってると思われがちですが、田舎の自然の豊かさも、美しい風景も、人の手によって管理がなされているからこその風景なのです。カウンセリングの中で語られるうつうつとした話の中に、田舎ならではのメンタル事情があります。

 社内環境だけでなく、当事者の生活環境についても耳を傾け「他者の視線」からの呪縛をほぐしていくことも回復へのサポートとなるでしょう。

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◇ 相談窓口(面談)をご利用の皆さまへ◇

 現在、新型コロナウィルスを含む感染症対策を実施しています。
 相談窓口(面談)では、発熱やせきなどの症状のある方及び感染者との
接触があった方は感染を予防するため来所による相談は控えていただき
ますようお願いしますまた感染症対策の基本である手洗いアルコール
消毒」や「マスクの着用(マスク持参)を含む咳エチケット」にご協力を
お願いします。

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◇ 治療と仕事の両立支援サービスについて(無料)◇

 当センターでは、治療を受けながら仕事を続けたい方、両立支援に
 取り組む事業場の方からの相談に応じています。
  → https://www.kyotos.johas.go.jp/ryoritsu

*出張相談窓口を開設しております。【要予約】
  ・京都大学医学部附属病院  7月は随時に変更しております。
  ・京都府立医科大学附属病院 7月は随時に変更しております。
  ・宇治徳洲会病院      随時
  ・市立福知山市民病院    随時
  ・京都市立病院       随時
  ・京都医療センター     随時
  ・京都第一赤十字病院    随時
  ・京都岡本記念病院     随時
  ・京都桂病院        随時
  ・京都第二赤十字病院    随時
  ・京都府立医科大学附属病院 北部医療センター  随時 

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◆京都産業保健総合支援センターご利用案内◆
  https://www.kyotos.johas.go.jp/about
◆相談のご案内◆
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京都産業保健総合支援センターまで
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○TEL :075-212-2600 FAX : 075-212-2700
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発 行 人 :松井 道宣   編 集 人 :古澤 稔正
編集協力 :産業保健相談員・メンタルヘルス対策促進員・両立支援促進員
発行/配信:京都産業保健総合支援センター https://www.kyotos.johas.go.jp