バックナンバー

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京都産業保健総合支援センター メールマガジン266号 2023/9/1

        発行:京都産業保健総合支援センター 所長 松井 道宣
        ホームページ:https://www.kyotos.johas.go.jp
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       当センター主催 産業医研修会ついて

      9月開催研修会     受付中
      10月・11月開催研修会 9月5日午前受付開始予定

  *ホームページリニューアル!!
   申込完了メール(自動)を受信されたことにより受付完了となります。
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  設定のご確認をお願いたします。 

  
 *セミナー・研修の詳細・お申込み
  → https://www.kyotos.johas.go.jp/training-new   
 *日本医師会の産業医情報(資格更新の特例措置、研修会等)
  → https://www.sangyo-doctors.gr.jp/

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◇ 京都産業保健総合支援センター ホームページ情報 ◇

1)厚生労働省 令和5年度「全国労働衛生週間」を10月に実施

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◇「産業看護の定義」をご存じですか ◇
    産業保健相談員(保健指導)  村田 理絵

 国内で、COVID-19の感染者確認から3年半が経過しましたが、この間、多くの人々の命や健康、経済や社会活動に大きな影響を与えました。また、働く人々に新たな健康課題を生じさせ、Well-beingの実現等、私達の「価値観」や「働き方」にも大きな変化をもたらしています。

 そのような中で、私達産業看護職が日本の元気を支えるために産業看護の力をさらに発揮していくには、礎となる「産業看護の定義」をしっかりと定めることの重要性が言われるようになりました。

 産業看護の定義については、幾つかの学会や団体がそれぞれ異なる表現で示しています。
2005年4月に日本産業衛生学会産業看護部会より
「産業看護とは、事業者が労働者と協力して、産業保健の目的*1 を自主的に達成できるように、事業者・労働者の双方に対して、看護の理念に基づいて*2 組織的に行う個人・集団・組織への健康支援活動である」と示されています。

*1 産業保健の目的   ILO/WHO(国際労働機関/世界保健機関)合同委員会より
  1.職業に起因する健康障害を予防すること
  2.健康と労働の調和を図ること
  3.健康および労働能力の保持増進を図ること
  4.安全と健康に関して好ましい風土を醸成し、生産性を高めることに
    なるような作業組織、労働文化を発展させること

*2 看護の理念とは
 「健康問題に対する対象者の反応を的確に診断し、その要因を明らかにして、問題解決への支援を行う、その支援に際しては、相手を全人的にとらえ、その自助力に働きかけ、気持ちや生きがいを尊重することが求められる」

 2022年4月に日本産業衛生学会産業保健看護部会より新たな定義が以下の通り、公表されています。

 ここでは“産業看護”という名称を一次予防の視点を重視し、“保健”という概念をとりいれ“産業保健看護”としています。
 「産業保健看護の対象は、すべての労働者および事業者であり、個人のみならず集団・組織をも含む。その目的は、健康と労働の調和を保つことであり、ひいては労働生産性の向上および持続可能な社会を実現することである。これらの目的達成に向けて、看護学を基盤として、経営的視点を念頭に置き、かつ公平・公正な立場から事業者と労働者の自主的な取り組みを支援する。産業保健看護専門職は、系統的な情報収集およびアセスメントにより抽出された個人・集団・組織の健康課題を連動させながら、課題解決に向けて事業場内外と連携を図り、協働および仕組みづくりを行う。これらを通して、労働に関連する健康障害の予防、労働者の生涯にわたる自律的な健康行動の確立、労働者が健康で安全に働き続けることができる職場環境づくり、さらには職場風土の醸成に寄与するものである」

 現代は、VUCA時代と言われており、私達産業看護職が担う産業保健活動についても、“産業看護の定義”をしっかり認識しつつ、これまでとは違った方法で行ったり、価値観を柔軟に変化させながら、対応していくことも必要ではないかと思うようになりました。 
 所属先の組織変更に伴い、私自身、業務内容と役割が変化した際には、産業看護職としての新たな役割について悩んでいました。そんな中、他の産業看護職から、これまでの経験や考え方をお聞きし、多くのヒントと元気をいただきました。そして、産業看護職とは、支援する方に元気を与えるだけでなく、支援される側からも元気をもらう。言ってみれば、「人」と「人」とを繋げていく存在であることに改めて気付かされた次第です。
 2023年度の研修会は、他の産業看護職とも交流がもてるような方法で検討しています。多くの産業看護職の方の参加を心からお待ちしています。
繋がりましょう!!

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◇ 物流危機2024年問題 ◇
    メンタルヘルス対策促進員  西野 智子

 来年4月から自動車運転業務にも時間外労働の上限が適用されることになり、ドライバーの労働時間が短くなることで物流が停滞することが懸念されています。
 何も対策を講じなければ、2024年に14%、2030年に34%の輸送不足が生じる可能性が試算されており、現在、生産性向上のための取組が進められています。

 取組のひとつに、高速道路でのトラックの速度規制を現行の時速80㎞から引き上げる検討が進められています。同じ距離を今までより早く走ることにより時間が短縮できるというわけですが、大型車のスピードが速くなれば事故も増えますし、ドライバーにストレスがかかります。
 また、大型トラックの後ろにトレーラーの荷台部分をつなげた「ダブル連結トラック」の導入が拡大しています。1人のドライバーが倍の荷物を運べるようになるわけですが、このダブル連結トラックは全長25mもあり、長い車両を運転するドライバーには大きなストレスを与えます。

 一方で、ドライバーの負担になっているのが、「荷待ち(荷物を下ろすまで待機すること)」と「自主荷役(運んだ荷物を倉庫や棚に並べること)」です。荷待ちは2~3時間待たされることは当たり前で、自主荷役は欧米では別料金で請負いますが、日本ではドライバーがサービスで担う慣習となっており、長時間労働の一因になっているという現状があります。
 時間外労働の上限適用の目的は、ドライバーの働き方を変えることです。働く時間を短くして、十分な賃金を保障するためには、業界の慣習である荷待ちや自主荷役の待遇改善も必要です。

 私たち消費者の意識改革も必要です。
①再配達を減らすために、宅配ボックスを置いたり、受取スポットを利用すること  ②急ぎでない場合は即日配送を避けること ③まとめて発注して配送回数を減らすこと
と小さなことですが、素早い流通のおかげで便利を得られるのは、ドライバーの長時間労働で成り立っていることを忘れないようにしなければいけません。
 働き方改革が、ドライバーの量的・質的な負担軽減のもと進められることを望みます。

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◇ 特定業務従事者の健康診断の「深夜業を含む業務」の解釈について ◇
    前産業保健相談員(労働衛生関係法令)  玉泉 孝次

 特定業務従事者の健康診断(安衛則第45条第1項)の対象業務は、同則第13条第1項第3号に定められていますが、同号のいわゆる有害業務の範囲の解釈については、昭和23年8月12日基発第1178号(労働基準法施行規則第18条、女子年少者労働基準規則第13条及び労働安全衛生規則第48条の衛生上有害な業務の取扱基準について)で示されているところであり、同通達はネットでも検索できるところです。(同通達の労働安全衛生規則第48条は、現行の労働安全衛生規則第45条及び第13条第1項第3号です。)
 しかしながら、同通達では「深夜業を含む業務」に関してその回数・頻度等の解釈が示されておらず、様々な解説書やパンフレット等には、昭和23年10月1日基発1456号で「深夜業を一週一回以上又は一月に四回以上行う業務をいう」と紹介されているものの、同通達の原文は通達集やネット検索等でも見当たりませんでした。
 今般、厚生労働省労働基準局労働衛生課から、下記の通り同通達を入手しましたので、業務の参考にしてください。

                 記                 

「基発第1178号に掲げる以外の有害業務の取扱基準について」(昭和23年
10月1日付け基発第1456号)
 標記の件については、下記によって取扱われたい。

                 記                 

一.深夜業を含む業務
  業務の常態として深夜業を一週一回以上又は一月に四回以上行う業務をいう。
二.水銀、砒素、黄燐、弗化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、苛性アルカリ、石炭酸その他これに準ずる有害物を取扱う業務
  (1)本号の業務は、これらのものが直接人体に接触し又は接触し易い業務をいう。
  (2)従ってこれらのものを製造工程等で直接取扱う業務は概ねこの範囲に属し、これらのものを入れた瓶などの包装等の業務はこの範囲に属さない。
三.病原体によって汚染のおそれの著しい業務
  患者の検診及び看護等の業務、動物又はその屍体、獣毛、皮革その他動物性のもの及びぼろその他古物を取扱う業務、湿潤地における業務。
  伝染病発生地域における防疫等の業務をいう。

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      産業保健スタッフ研修会のご案内

『若年性認知症の方の就労継続支援共催:京都府』(第3回)
  日時:令和5年9月 2日(土) 14:00~16:00
  場所:京都府医師会館 3階会議室
  講師:京都府医師会 認知症対策担当理事 西村 幸秀氏
     京都府立医科大学大学院精神機能病学 助教 大矢希氏

『メンタルヘルス困難例への対応』
  日時:令和5年9月6日(水) 14:00~16:00  
  場所:アーバネックス御池ビル東館 2階会議室
  講師:京都産業保健総合支援センター 相談員 山下 恵子
  ※日医認定産業医の単位は付与されません。

『効果的な職場巡視と衛生管理者の活性化』
  日時:令和5年9月15日(金) 14:00~15:30 Web(Zoom)  
  講師:京都産業保健総合支援センター 相談員 桑村 明男
  ※日医認定産業医の単位は付与されません。

『発達障害者の理解と職場での対応』
  日時:令和5年11月8日(水) 14:00~16:00
  場所:アーバネックス御池ビル東館 2階会議室
  講師:京都産業保健総合支援センター 相談員 山下 恵子
  ※日医認定産業医の単位は付与されません。

詳細・お申込: https://www.kyotos.johas.go.jp/training#training02

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       「若者のための化学物質管理研修」(対面式)

 令和6年4月から化学物質規制の仕組みが自主管理へと大きく変わることから、化学物質管理担当者の人材育成を目的に若手労働者を対象としたセミナー(3回シリーズ)を開催します。
 セミナーでは、各方面の専門家をお招きして、有機溶剤中毒の予防やリスクアセスメントの基礎知識、労働衛生保護具の取扱い方法及び災害事例をもとに原因や対策方法を考察するといった内容を予定しています。
 募集は12名としており、原則として3回とも出席(対面式)できる方とさせていただきます。
 お申し込みは当センターホームページからお願いします(多数の場合は 抽選とさせていただきます)。

●第1回●
  日時:令和5年10月6日(金) 15時30分~17時15分
  場所:アーバネックス御池ビル東館 2階階会議室
  演題:化学物質管理の基礎知識
  内容:有機溶剤中毒予防規則に見る従来の管理の考え方やこれからの
  化学物質管理の考え方をもとに職場おける化学物質管理の基礎知識を
  解説していきます。
  講師:京都労働局 労働基準部長 岸 泰広 氏

●第2回●
  日時:令和5年12月1日(金) 15時30分~17時15分
  場所:アーバネックス御池ビル東館 2階会議室
  演題:化学物質取扱い時に使用する保護具対策
  内容:化学物質取扱いの現場で使用されている保護具について、
  種類・性能・使用方法などを実物を示しながら解説していきます。
  講師:保護具アドバイザー 今川 輝男 氏

●第3回●
  日時:令和6年2月2日(金) 15時30分~17時15分
  場所:アーバネックス御池ビル東館 2階会議室
  演題:化学物質の有害性と対策
  内容:国内で発生した化学物質による労働災害事例をもとに化学物質
  の有害性や対策を解説していきます。
  講師:中央労働災害防止協会大阪労働衛生サービスセンター
     所長 圓藤 吟史 氏

詳細・お申込: https://www.kyotos.johas.go.jp/training#training02
       ※日医認定産業医の単位は付与されません。

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     両立支援コーディネーター基礎研修を受講された皆様へ

  メールアドレス、ご所属先など登録情報の変更がございましたら
  以下のアドレス宛てにご連絡ください。

       労働者健康安全機構勤労者医療課 
       両立支援コーディネーター養成研修事務局
       E-mail: co-ryoritu@honbu.johas.go.jp

 *令和5年度 第4回~第7回「両立支援コーディネーター基礎研修」の
  スケジュールが追加されました
  引き続きオンライン形式で開催します。↓↓↓
  https://www.johas.go.jp/ryoritsumodel/tabid/2126/Default.aspx

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◇ メンタルヘルス対策支援サービスについて(無料)◇
  メンタルヘルス対策促進員が事業場に赴き、お手伝いいたします。

   ・管理監督者教育への講師派遣
   ・若年労働者教育への講師派遣
   ・「こころの健康づくり計画」策定に関する支援
   ・「職場復帰支援プログラム」作成に関する支援
   ・ストレスチェック制度の導入や実施後の職場環境改善等に
    関する支援
    詳 細→ https://www.kyotos.johas.go.jp/mental

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◇ 治療と仕事の両立支援サービスについて(無料)◇

 当センターでは、治療を受けながら仕事を続けたい方、両立支援に
 取り組む事業場の方からの相談に応じています。
  → https://www.kyotos.johas.go.jp/ryoritsu

*出張相談窓口を開設しております。【要予約】
  ・京都大学医学部附属病院  毎月第3水曜日( 9:30~12:30)
  ・京都府立医科大学附属病院 毎月第2木曜日(10:00~12:00) 
  ・京都市立病院       毎月第1金曜日(11:00~12:00)
  ・京都第二赤十字病院    随時
  ・京都第一赤十字病院    随時
  ・京都桂病院        随時
  ・京都医療センター     随時
  ・洛和会音羽病院      随時
  ・宇治徳洲会病院      随時
  ・京都山城総合医療センター 随時
  ・京都岡本記念病院     随時
  ・市立福知山市民病院    随時
  ・京都府立医科大学附属病院 北部医療センター 随時

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◆京都産業保健総合支援センターご利用案内◆
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◆研修・セミナーのご案内◆
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発 行 人 :松井 道宣  編 集 人 :小見 伸雄
編集協力 :産業保健相談員・メンタルヘルス対策促進員・両立支援促進員
発行/配信:京都産業保健総合支援センター  https://www.kyotos.johas.go.jp