バックナンバー

**************************************************
京都産業保健総合支援センター メールマガジン 192号 2017/8/1

        発行:京都産業保健総合支援センター 所長 松井 道宣
        ホームページ:https://www.kyotos.johas.go.jp

**************************************************
—————————————————————————————————
京都産業保健総合支援センター ホームページ情報
 
1)『治療と仕事の両立支援制度導入に関する助成金』のご案内
                        < 2017.07.12>

2)「第11回じん肺診断技術研修」のご案内     < 2017.07.12>

—————————————————————————————————
 
**************************************************

◇個人の楽しみであるアルコールを制限するアプローチ方法って?◇
       保健指導相談員  村田 理絵

 保健指導において、アルコール対策に悩んでいる保健指導者は多いので
はないでしょうか。
 飲酒は嗜好であるから飲酒者個人の責任に任せておいてよいという考え
方も一部に未だ根強くあります。
 また、日本の文化や風習の中で、飲酒は冠婚葬祭や会合等に欠かせない
ものであり、「酒は百薬の長」としての飲酒の効用の面が強調され、これ
まで、飲酒運転と未成年者の飲酒が法的に規制されている以外には具体的
対策が採られてないこと、学校や医学教育においても、飲酒に伴うリスク
について正しい知識の普及、啓発が十分になされていないこと等の背景か
らもアルコール対策を難しくしている要因と思われます。

 2010年5月にWHOでアルコールの有害な使用を低減するための世界戦
略」が採択されたことを受け2013年12月に「アルコール健康障害対策基
本法」が制定され、アルコール依存症対策だけでなく、“多量飲酒”につ
いても対策が必要とされています。「健康日本21(第二次)」でも、生活
習慣病のリスクを高める量を飲酒している者(1日当たりの純アルコール
摂取量が男性40g以上女性20g以上の者)を減少させるという目標を掲げ
ています。

 アルコールを飲んでいる人の多くは、普段自分がそれほど多く飲んでい
るという自覚が乏しいため、飲酒量を「ドリンク(純アルコール10g=1
ドリンク)」で算出し、適正飲酒の指標(男性2ドリンク、女性1ドリン
クが適量)とその意味を客観的に伝えるだけでも効果があるといわれてい
ます。

 特定保健指導でも推奨されているAUDIT(オーディット)*1というアル
コール問題のスクリーニングテストを使用し、普段の飲酒の評価をし、リ
スクの高い飲酒の方には、減酒支援という名のブリーフインターベンショ
ン*2を行いましょう。
 ちなみに減酒支援の対象は、依存症ではない“多量飲酒者”に対して行
う支援です。

*1:AUDIT(オーディット):Alcohol Use Disorders Identification
 Test、アルコール使用障害同定テスト、アルコール問題のスクリーニ
 ングの一つ。WHOが問題飲酒を早期に発見する目的で作成したもので、
 世界で最もよく使われています。

*2:減酒支援(ブリーフインターベンション):Brief Intervention、
 対象者の特定の行動(この場合は飲酒行動)に変化をもたらすことを
 目的とした短時間のカウンセリング海外では活発に用いられています。

※産業保健と看護2017 vol.9 no4の原稿をもとに一部引用させて頂きま
 した。
 ご関心のある方は、村田理絵.産業看護実践Q&A.産業保健と看護.
 9(4)2017.76-77をご参照ください。

【その他参考文献・参考サイト】
1)厚生労働省 標準的な健診・保健指導プログラム【改訂版】2013,

  183-92
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/seikatsu/dl/hoken-program3_06.pdf
2)独立行政法人国立病院機構肥前精神医療センター発行、アルコール
  問題早期介入のストラテジーHAPPYプログラム使用マニュアル第4版
  杠 岳文
3)アル法ネットHP(アルコール健康障害対策基本法推進ネットワーク)
  資料ダウンロード、AUDIT使用マニュアル等
  http://alhonet.jp/download.html

**************************************************

◇ストレスチェック後の職場環境改善へのつなげ方◇
           メンタルヘルス対策促進員  勝見 九重

そろそろ今年のストレスチェックが始まろうとしています。
ただ、初めてのストレスチェック後で同じようなご相談を受けることが続
きました。

「集団分析の見方がわからない」
「職場環境改善にどう活かせばよいかわからない」

せっかく費用と時間をかけてメンタルヘルス対策の一つであるストレスチ
ェックを実施してもこんな悩みを抱えていてはもったいないですし、今年
のストレスチェックも同じような取扱いになるかもしれません。
そこでひとつのアイデアを挙げてみたいと思います。

1.会社のトップがもう一度ストレスチェック制度を受けることを宣言
  して、その意義を周知する
2.ラインケア研修で集団分析から職場環境改善につなげる意味と集団
  分析データの見方を学ぶ
3.人事や総務だけでなくワーキンググループを作って実際に動くキー 
  パーソンを決める
4.従業員も巻き込んでアクションチェックリストを使い、具体的な計画
  に落とし込む。
5.計画を実行し、確認、精査してPDCAサイクルをまわす。
6.次回のストレスチェックでは先の結果をふまえて経年での視点も持っ
  ておく。

またこんな声もいくつか聞かれました。

「部署別のデータがあると、どの部署の成績が悪いとか、悪者探しになる
のではないか」

この声は最初のストレスチェックを実施する前に、この制度の意味が管理
職に伝わっていないことも大きな原因ではないでしょうか。
総合得点は決して集団分析の成績順位を表すためのものではありません。
あくまでその職場や部署のうまくいっている点を伸ばし、職場の全員が改
善に向かって行動するための指針のように使っていただきたいです。

前出のアクションチェックリストを使い、具体的な行動につながるように
計画・実施をしてください。

もう一つ重要なのはストレスチェック受検後の従業員それぞれのセルフケ
アです。
せっかく職場環境改善につなげられたとしても、職場内で働く従業員のセ
ルフケアがうまくできていなければ効果はありません。

そもそもストレスチェック制度自体への理解がなかったり、プライバシー
は厳守されること、不利益な取扱いは受けないことを理解してもらうこと
を徹底してください。

セルフケア研修では自分のストレスに気づき、従業員自身がセルフケアを
実践できるように具体的にワークなどを取り入れてはいかがでしょうか。
ストレスチェック受検後のラインケア研修、セルフケア研修が浸透すれば
次回のストレスチェック受検への誤解や不安もなくなり、本来の目的であ
る一次予防にスムースに結びつけられるのではないでしょうか。

【参考サイト】

職場改善マニュアル(メンタルヘルスアクションチェックリスト掲載)
https://kokoro.mhlw.go.jp/manual/

ストレスチェック後のセルフケア
https://kokoro.mhlw.go.jp/

**************************************************

◇メンタルヘルス対策支援サービスについて(無料)◇
  メンタルヘルス対策促進員が事業場に赴き、職場のメンタルヘルス
  対策をお手伝いいたします。↓↓↓

   https://www.kyotos.johas.go.jp/mental

**************************************************

◇ストレスチェック制度について◇
  *「こころの耳」に「ストレスチェック制度」についてまとめられて
   います。↓↓↓
    http://kokoro.mhlw.go.jp/etc/kaiseianeihou.html 

  *ストレスチェック制度サポートダイヤル
    電話番号  全国統一ナビダイヤル 0570-031050
    開設時間  平日 10時~17時(※祝日、年末年始を除く)

  *「ストレスチェック」実施促進のための助成金について
          (対象:従業員数50人未満の事業場)
    申請期間:4月15日から翌年度6月30日  詳細は↓↓↓
https://www.johas.go.jp/sangyouhoken/stresscheck/tabid/1005/Default.aspx

**************************************************

◇治療と職業生活の両立支援サービスについて(無料)◇
  当センターでは、治療を受けながら仕事を続けたい方、両立支援に
  取り組む事業場の方からの相談に応じています。↓↓↓

   https://www.kyotos.johas.go.jp/ryoritsu

**************************************************

◆産業保健に関する各種研修会のお知らせ◆
    https://www.kyotos.johas.go.jp/training

 ※8月~9月研修会を掲載しております。奮ってご参加下さい。
 ※当センターが実施する「産業医研修会」について、付与できる単位は
  「生涯研修」のみとなります。
  「基礎研修」を受講される方は、京都府医師会主催の研修会をご覧
  ください。
    http://www.kyoto.med.or.jp/member/sports/index.html
◆京都産業保健総合支援センターホームページ◆
    https://www.kyotos.johas.go.jp
◆京都産業保健総合支援センターご利用案内◆
◆図書・教材のご案内◆
    https://www.kyotos.johas.go.jp/material
◆産業保健新着情報◆
    https://www.kyotos.johas.go.jp/archives/news
◆メンタルヘルス対策支援サービスのご案内◆
    https://www.kyotos.johas.go.jp/mental
◆メールマガジン(バックナンバー)◆
    https://www.kyotos.johas.go.jp/mailmagazine/back-number
**************************************************
メールマガジン配信のお申込み、お断り、お問い合せ、ご質問等は
京都産業保健総合支援センターまで
  ○MAIL:info@kyotos.johas.go.jp 
  ○TEL:075-212-2600 FAX : 075-212-2700
**************************************************
発 行 人 : 松井 道宣
編 集 人 : 為井 克昌 
編集協力 :京都産業保健総合支援センター 産業保健相談員
発行/配信:京都産業保健総合支援センター https://www.kyotos.johas.go.jp