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京都産業保健総合支援センター メールマガジン 190号 2017/6/1

         発行:京都産業保健総合支援センター 所長 森 洋一
         ホームページ:https://www.kyotos.johas.go.jp

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京都産業保健総合支援センター ホームページ情報
 
1)平成29年6月の特定化学物質障害予防規則等の改正(三酸化二アンチモン
 に係る規則の追加)について            〈2017.5.29〉

2)厚生労働省委託 パワーハラスメント対策支援セミナーのご案内
                          〈2017.5.25〉
3)平成29年度 産業保健関係助成金のご案内       〈2017.5.16〉
 
4)京都労働局 平成29年度全国安全週間」行事について〈2017.5.1〉
 
5)厚生労働省 健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針
  の一部を改正                     〈2017.5.1〉
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◇ 人生の危機を恐れず自分らしい生き方を ◇
       カウンセリング相談員  安元 寛子

 映画が好きな人にとって、アカデミー賞受賞は気になるところだと思い
ます。今年の受賞は「ムーン・ライト」で、“同性愛、差別、いじめ、麻
薬中毒、親子の断絶等”と社会テーマが並び、それを小学生、高校生、成
人と異なった役者が演じ、胸にずっしりと迫る映画でした。
 また、おしくも有力候補と言われながら逃した「LION」は実際に基
づいた映画です。主人公サル―は、5歳の時インドで迷子になり、孤児と
認定され、オーストラリアのタスマニアに暮らす養父母のもとに養子とし
て引き取られます。利発な彼はすぐに養父母と環境になじみ、メルボルン
の大学で経営学を専攻することになります。そのゼミの場で友人の一言か
ら「自分は何者なのか?」と言う問いと共に、記憶の中に浮かんでは消え
ていく故郷の村や母、兄の残像に悩まされます。そのような中、過去の喪
失によって行き場を失っている自分と、今現在十分と言える養父母の愛に
囲まれながらも、幸せに身をゆだねられない葛藤に恋人、就職さえも拒絶
して閉じこもってしまいますそして友人の「Google Earthで探せるの
では?」の言葉に故郷や母を探すために、おぼろげな記憶を頼りに、アイ
デンティティ探求の旅に出るというものです。
 アイデンティティはアメリカのエリクソン精神医学博士が提唱したもの
です。私達は、「自分とは何か?」「これからどう生きていくのか?」と
いった問いを通して、自分自身を形成していくプロセスをたどります。そ
して、「これこそが本当の自分だ」といった実感のことをアイデンティテ
ィと呼びます。アイデンティティを獲得すると、私達は安定しますが、獲
得に失敗や見送りをした結果、不安定な状態になります。これが、アイデ
ンティティ・クライシスです。
 今までの学説では、一般的にアイデンティティ・クライシスは、青年期
に集中していると考えられていました。 しかし、今では青年期だけでな
く、今の働き方や生き方でいいのかという疑問を持つ中年期や、定年を迎
え今までと違う生き方を求められる老年期等、人生全般にわたってアイデ
ンティティ・クライシスは起きると考えられるようになりました。このよ
うな危機に出会うことは混乱や葛藤が生じ心身ともに疲れストレスフルに
なる可能性は大いにありますが、乗り越えることは次の新しい自分に出会
い成長することになります。自分自身への問いかけを何回も繰り返しなが
ら、絶えず成長し続けるのが生涯発達のプログラムです。危機を恐れず、
上手に乗り越えながら、統合に至る老年期を目標にバランスの良い人生を
送りたいものです。

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◇ セルフケアの実践と働きやすい職場づくりの更なる推進 ◇
           メンタルヘルス対策促進員  岩澤 正明

 5月の大型連休は好天に恵まれ、兵庫県三田市の永澤寺近くの「花のじ
ゅうたん」へ行きました。一面に広がる美しい芝桜は、期待どおりの美し
さで気分転換が図れました。6月に入りましたが、梅雨の合間に自然に触
れながらリフレッシュするのも楽しみです。
 さて、「メンタルヘルスケア」の最近の状況を見ると、精神障害の労災
請求件数が過去最高、自殺死亡者が先進国の中ではトップといった記事が
目に入ります。自殺者は年々減少傾向にありますが、2万人以上の方が年
間亡くなっているという深刻な状況に変わりはありません。今後、減少に
向けての国の施策も示されるとは思いますが、重点テーマは過重労働や、
職場の人間関係による自殺対策が挙げられ、企業におけるメンタルヘルス
対策の更なる充実が必要と考えます。
 昨今、問題視されている、過重労働によるメンタルヘルス対策について
は、働き方改革と連動し、その仕事が本当に必要なのかという視点に立ち
見直すことがまず重要と云えます。併せて、一人ひとりが「適度な睡眠」
「早めの休養」、「区切りをつけてリフレッシュ」することが、基本であ
り大切な点は変わりません。
 一方、現状の職場では周囲に迷惑をかけたくない、上下関係を重視する
あまり、早く帰ったり、休暇が取りにくい雰囲気があるのが実態ではない
でしょうか。
 予防の観点から、ストレスチェックによる高ストレスの早期気づきと対
処など自己健康管理の推進と組織ぐるみで、働きやすい職場づくりに向け
て、できることから職場環境改善を進めていくことが、重要になっている
と考えます。

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◇ 退任のご挨拶 ◇
          所長  森 洋一

 平成29年6月30日付で退任いたします。在任中は産業保健分野の重責を
微力ながら無事に努めることが出来たものと安堵いたしております。これ
もひとえにセンターの歴代副所長を始め多くの職員の皆様関係行政機関
京都府医師会、関係団体の皆々様等、多くの方々から頂いた御支援と御協
力の賜であり、心よりお礼申し上げます。

 平成18年4月に就任以来、10年以上産業保健活動の推進に努めて参りま
したが、この間の産業保健における変化、政治状況による体制の変化等々
運営には相当な変遷があったことは皆様ご承知の通りであります。地域産
業保健センターを府医が運営するのか当時の産業保健推進センターが運営
するのか、府医師会の負担や地域産業保健センターを担う地区医師会の負
担はどうなるのか?特に北部地域の産業医が少なく支援に時間をとられる
地域の負担増は顕著であり最後まで日本医師会や機構と丁々発止のやりと
りを展開してまいりました。全国的にも大問題となり多くの都道府県から
不満の声が上がっていたのはご承知の通りであります。また、10年以上前
から課題となっていたメンタルヘルスについては、当センター独自に産業
医と精神科医との相互理解、連携を強化する取り組みを進めてきました。
メンタルヘルス支援センター事業を推進センターが担うこととなり相談員
の確保などに難渋しながらも業務の推進が出来ました。そして、平成26年
度からは、産業保健推進センター事業、地域産業保健事業、メンタルヘル
ス対策支援事業の一元化が図られ、ワンストップサービスとしてより充実
した産業保健サービスの提供を行えることとなりました。
 平成21年度からは、経費削減ということで事務所が手狭になると共に人
員の削減が進められるようになるなど職員にとっては大変厳しい状況が続
いてまいりましたし、民主党の事業仕分けにより一部のセンターが連絡事
務所に変更され当センターでも滋賀県の連絡事務所の事務を行うこととな
るなど一時は危機的状況になったこともありましたが、現在は漸く落ち着
きを取り戻し産業保健活動の一層の推進に取り組んでおります。

 さて、最近の労働者の健康を巡る状況は、定期健康診断の結果における
有所見者の割合は依然として半数を超えており、定期健康診断の確実な実
施及び事後措置の実施等を含めた健康確保対策が重要です。また、特定検
診、保健指導への取り組みも強く求められております。
 さらに近年、雇用延長に伴って基礎疾患を有する勤労者や、これまでは
就労を継続しての治療などが難しかった『がん』についても医療技術の進
歩により治療を受けながら就労する勤労者も多く、疾病による休業等から
の職場復帰や治療と職業生活の両立支援への取組が新たな課題となってお
ります。

 この様な状況から、今後さらに企業における産業保健活動の充実が求め
られますので、どうか引き続きまして、京都産業保健総合支援センター事
業への御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げ、退任のご挨拶と致
します。

 なお後任所長には、松井道宣が就任いたしますので、今後とも私同様の
御厚誼を賜りますようお願い申し上げます。

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◇治療と職業生活の両立支援サービスについて(無料)◇
  当センターでは、治療を受けながら仕事を続けたい方、両立支援に
  取り組む事業場の方からの相談に応じています。↓↓↓

   https://www.kyotos.johas.go.jp/ryoritsu

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◇メンタルヘルス対策支援サービスについて(無料)◇
  メンタルヘルス対策促進員が事業場に赴き、職場のメンタルヘルス
  対策をお手伝いいたします。↓↓↓

   https://www.kyotos.johas.go.jp/mental

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◇労災疾病等医学研究普及サイトのご案内◇
   当機構では産業構造職場環境等の変化に伴い勤労者の新たな健康
  問題として社会問題化している疾病についてモデル医療やモデル予防
  法の研究・開発、普及に取り組んでおります。
  詳細は下記をご覧ください。

 ※労災疾病等医学研究普及サイト URL
   http://www.research.johas.go.jp/index.html
   ①「治療就労両立支援」について URL
   http://www.research.johas.go.jp/22_ryoritsu/index.html
   ②「よくわかるじん肺健康診断」について URL
   http://www.research.johas.go.jp/jinpai2015/index.html

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◇ストレスチェック制度について◇
  *「こころの耳」に「ストレスチェック制度」についてまとめられて
   います。↓↓↓
    http://kokoro.mhlw.go.jp/etc/kaiseianeihou.html 

  *ストレスチェック制度サポートダイヤル
    電話番号  全国統一ナビダイヤル 0570-031050
    開設時間  平日 10時~17時(※祝日、年末年始を除く)

  *「ストレスチェック」実施促進のための助成金について
          (対象:従業員数50人未満の事業場)
    申請期間:4月15日から翌年度6月30日
    詳細は↓↓↓

https://www.johas.go.jp/sangyouhoken/stresscheck/tabid/1005/Default.aspx

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◆産業保健に関する各種研修会のお知らせ◆
    https://www.kyotos.johas.go.jp/training

 ※6月~9月研修会を掲載しております。奮ってご参加下さい。
 ※当センターが実施する「産業医研修会」について、付与できる単位は
  「生涯研修」のみとなります。
  「基礎研修」を受講される方は、京都府医師会主催の研修会をご覧
  ください。
    http://www.kyoto.med.or.jp/member/sports/index.html
◆京都産業保健総合支援センターホームページ◆
    https://www.kyotos.johas.go.jp
◆京都産業保健総合支援センターご利用案内◆
◆図書・教材のご案内◆
    https://www.kyotos.johas.go.jp/material
◆産業保健新着情報◆
    https://www.kyotos.johas.go.jp/archives/news
◆メンタルヘルス対策支援サービスのご案内◆
    https://www.kyotos.johas.go.jp/mental
◆メールマガジン(バックナンバー)◆
    https://www.kyotos.johas.go.jp/mailmagazine/back-number
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メールマガジン配信のお申込み、お断り、お問い合せ、ご質問等は
京都産業保健総合支援センターまで
  ○MAIL:info@kyotos.johas.go.jp 
  ○TEL:075-212-2600 FAX : 075-212-2700
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発 行 人 : 森   洋一
編 集 人 : 為井 克昌 
編集協力 :京都産業保健総合支援センター 産業保健相談員
発行/配信:京都産業保健総合支援センター https://www.kyotos.johas.go.jp