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京都産業保健総合支援センター メールマガジン 189号 2017/5/1

         発行:京都産業保健総合支援センター 所長 森 洋一
         ホームページ:https://www.kyotos.johas.go.jp

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京都産業保健総合支援センター ホームページ情報
1)厚生労働省 石綿飛散漏洩防止対策徹底マニュアル改訂2.10版の策定に
ついて                       

2)厚生労働省 粉じん障害防止規則及びじん肺法施行規則の一部を改正す
る省令の施行について                

3)職場高血圧に関する調査研究結果の概要~月曜日の午前中に要注意!
                          
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◇ 新任のご挨拶 気軽にセンターのご利用を! ◇
       カウンセリング相談員  森崎 美奈子

 私は東京女子大学心理学科を卒業後、慶應義塾大学医学部精神神経科に
入局し心理療法心理査定等の臨床活動に従事しておりましたが1985
年以降は心理職として、企業の産業保健活動にかかわっています。

 1980年代は職場のストレス対策が注目され出し社内のメンタルヘル
ス状況の把握と解決のための施策、活動の体系化とシステムづくり”が私
の課題でした。そこで活動目標を“コミュニケーションの良い明るい職場
風土づくりと社員の自己管理意識の啓発”とし、①活動のキーマンとして
管理職の育成(リスナー研修の実施)、②社員への相談体制の整備とPR、
③相談の受け皿としての産業保健スタッフ(看護師・保健師等)への支
援・育成、④関連部門(職場・人事労務・安全・健康管理部門)との連携
とコンサルテーション、等に努めました。

 ビジネス状況の悪化の中で、働く人々は心身を蝕まれ、職場不適応、過
労死、過労自殺が多発する昨今、職場のストレス対策の重要性が叫ばれて
います。 “過重な業務負担が脳・心血管疾患を引き起こした” 、“職場の
過度なストレスで精神不調 (含自殺)に至った”等との労災申請が急増し、
働く人々の心身の健康障害は深刻な社会問題となっています。また、都道
府県労働局、労働基準監督署への「職場のいじめ・嫌がらせ」に関する相
談件数や助言指導の申し出も増加しています。職場のいじめ・嫌がらせは、
職場の人間関係を悪化させるとともに、職場の秩序を乱し、労働者の勤労
意欲の阻害や組織の生産性の低下をもたらし、さらには、心身の不調もも
たらすなど労働者のメンタル不調の原因となることがあるとされています

 労働者の心の健康障害は労働者個人のみならず、企業にとっても生産性
や士気・労働力の低下に繋がる問題であります。心の不調従業員を発生さ
せないよう予防策を講じることは勿論のこと、不調になった従業員への適
切な対応が求められています。「ストレスチェック制度」や「仕事と治療
の両立支援」も重要な課題です。

 相談員として企業の産業保健担当の皆様の身近な存在でありたいと願っ
て居ります。
また、相談活動や研修・セミナーでの皆様との出会いは、私自身の更なる
成長に繋がります。どうぞ気軽にセンターをご利用ください。
 私の産業保健現場での経験が役立てば幸いです。よろしくご支援くださ
い。

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◇ 指示・命令時の表現について ◇
        メンタルヘルス対策促進員  西村 和記

 人に指示や命令する時に、皆様はどのような表現をされるでしょうか?
周囲の人はどのような表現をされるでしょうか?指示や命令時の表現方針
は御社では決められているでしょうか?わざわざ教育や情報提供するまで
もなく、各自の常識や良識にゆだねられているのでしょうか?指示や命令
は簡潔に、具体的にとよく言われます。同じ内容の指示なのに、受けた相
手が嫌な気分になる表現もあれば、逆に感謝されることさえあります。こ
の差はどこから生じるのでしょうか?メッセージの送り手の問題でしょう
か、それとも受け手の問題でしょうか?

 人によっては、指示や命令をする時相手に反感や諦めを生じさせたり、
さらには徹底的に痛めつけるような言い方をされていることがあります。
私などはそのような言い方を耳にすると、仕事関連の場でありましたら、
「今の表現でしたら、相手を嫌な気分にさせたり、痛めつけるのが目的に
なっていますよ。目的は何ですか?」と素直に声をかけます。また「まだ
わからないの」とか「いい加減覚えてよ」など、自分のイライラをそのま
ま言葉にされている人もいます。思ったことをそのまま表現できる方はう
らやましいと思いますが、業務上のやり取りとしては、周囲のパフォーマ
ンスを下げかねません。

 指示、命令を伝える時率直に具体的に分かりやすく表現するだけでも、
仕事をしやすい環境つくりに貢献できます。何のために言葉をかけるのか
相手を痛めつけるためなのか、自分がすっきりしたいためなのか、などを
心にとめて発言するだけでも、表現の仕方を変えられます。受け手として
も、相手の表現の目的をとらえるようにしますと、痛めつけられるような
表現をされたとしても、いくぶん耐性があがります。また、受け手のパフ
ォーマンスを下げるような言い方を耳にした時には、周囲の人や上司が、
率直に別の表現を提案できるような職場風土であれば救われます。

 政府が3月28日に決定した「働き方改革実行計画」の工程表の中に、メ
ンタルヘルス、パワーハラスメントの取組強化があげられています。産保
センターでも各種支援事業がありますので、どうぞ広報等をご覧頂きご利
用いただくようお願い致します。

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◇ 改正個人情報保護法と健康情報の取扱いについて ◇
        労働衛生関係法令相談員  玉泉 孝次

 個人情報保護法が改正され、本年5月30日から施行されます。
 改正個人情報保護法の詳細については、個人情報保護委員会のホーム
ページに掲載されています。また、「雇用管理分野における個人情報保護
に関するガイドライン(政令)」「雇用管理における個人情報のうち健康情
報を取扱うにあたっての留意事項(通達)」も平成27年11月にそれぞれ改正
されていますのでご参照ください。

1.改正の概略
 (1)グレーゾーンとされていたDNA等について、「個人識別符号」と
   定義して個人情報とされました。(第2条第2項)
   具体的には、顔認識データ、指紋認識データ、DNA、顔、虹彩、
   声紋、歩行の態様、手指の静脈、指紋、掌紋、旅券番号、運転免許
   証番号、マイナンバー、基礎年金番号、住民票コード、各種保険証
   の被保険者番号(国民健康保険被保険者証、雇用保険被保険者番号
   など)が政令で指定されました。
 (2)「要配慮個人情報」の新設(第2条第3項)
   要配慮個人情報とは、人種、信条、社会的身分、病歴、前科など本
   人に対する不当な差別、偏見が生じないよう特に配慮を要する個人
   情報をいい原則としてオプトアウトができないこととされました
   具体的には人種信条社会的身分病歴犯罪歴犯罪被害事実、
   身体・知的・精神障害等、健康診断等に基づく指導・診療・調剤、
   逮捕などが政令で指定されました。
 (3)個人データの第三者への提供等に係る記録の保存・確認義務の新設
  (第25条他)
   個人データを第三者に提供するとき及び第三者から個人データの提
   供を受けるとき、第三者及び提供者の氏名、個人データの項目、取
   得経緯等を記録・確認し、原則3年間保存することが義務付けられ
   ました。(委託、合併継承、共同利用は適用除外)
 (4)オプトアウトの場合、個人情報保護委員会へ事前の届出制度の新設
  (第23条第2項他)
 (5)取扱い個人情報の数が5,000人分以下の事業者も法の対象に。(適用
   除外の廃止)

 
2.労働安全衛生法による健康診断、ストレスチェック等の個人情報の取
 り扱いについては、新設された個人データの第三者への提供に係る記録
 の保存義務以外は、基本的には改正前と変更はありません。
 (1)健康診断、面接指導は「要配慮個人情報」の「病歴、健康診断等に
   基づく指導等」に該当することになりますが、健診機関に労働者の
   個人情報を提供すること、健診機関から健診結果を貰うこと、面接
   指導に係る個人情報の提供・取得などは「法令に基づく場合」に該
   当し適用除外になるため、従前どおり本人の同意は不要です。(第
   23条第1項第1号)
 (2)ストレスチェックも「要配慮個人情報」に該当しますが、事業者か
   ら医師等の実施者への労働者の個人情報の提供については、従前ど
   おり「法令に基づく場合」に該当し適用除外になるため本人の同意
   は不要です(第23条第1項第1号)が、ストレスチェックの結果につ
   いては、本人の同意がなければ医師等の実施者は事業者に提供でき
   ないのは従前どおりです。(安衛法第66条の10第2項)
 (3)個人データの第三者への提供に係る記録の保存義務に関しては、安
   衛法による健康診断、面接指導については適用除外されていますの
   で、事業者、健診機関とも記録の保存義務はありません。(第25条
   ただし書き) ただし、医師等の実施者が(本人の同意に基づい 
   て)ストレスチェック結果を事業者への提供した場合には、記録の
   保存義務があります。(第25条他・新規義務)
 (4)事業者が健康保険組合から健康情報の提供を求める場合は本人の同
   意が必要ですが、健康診断を共同で実施する場合は「共同利用」 
   (第23条第4項第3号)に該当するため、健診結果の取得については
   従前どおり本人の同意は不要です。
 (5)欠勤や休職などに関連して本人から診断書等が出された場合に事業
   者が主治医から健康情報を取得する場合、主治医は本人の同意がな
   ければ事業者等に提供できませんのでご留意ください。(変更な 
   し) なお、主治医は、本人の同意に基づいて健康情報を事業者へ
   の提供した場合は、記録の保存義務があります。(第25条他・新規
   義務)
 
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◇ストレスチェック制度について◇
  *「こころの耳」に「ストレスチェック制度」についてまとめられて
   います。↓↓↓
    http://kokoro.mhlw.go.jp/etc/kaiseianeihou.html 

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◆産業保健に関する各種研修会のお知らせ◆
    https://www.kyotos.johas.go.jp/training

 ※5月~6月研修会を掲載しております。奮ってご参加下さい。
 ※当センターが実施する「産業医研修会」について、付与できる単位は
  「生涯研修」のみとなります。
  「基礎研修」を受講される方は、京都府医師会主催の研修会をご覧
  ください。
    http://www.kyoto.med.or.jp/member/sports/index.html
◆京都産業保健総合支援センターホームページ◆
    https://www.kyotos.johas.go.jp
◆京都産業保健総合支援センターご利用案内◆
◆図書・教材のご案内◆
    https://www.kyotos.johas.go.jp/material
◆産業保健新着情報◆
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◆メンタルヘルス対策支援サービスのご案内◆
    https://www.kyotos.johas.go.jp/mental
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京都産業保健総合支援センターまで
  ○MAIL:info@kyotos.johas.go.jp 
  ○TEL:075-212-2600 FAX : 075-212-2700
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発 行 人 : 森   洋一
編 集 人 : 為井 克昌 
編集協力 :京都産業保健総合支援センター 産業保健相談員
発行/配信:京都産業保健総合支援センター https://www.kyotos.johas.go.jp