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京都産業保健総合支援センター メールマガジン  187号
 平成28年度 第12号 2017/3/1
         ホームページ:https://www.kyotos.johas.go.jp
         発行:京都産業保健総合支援センター 所長 森 洋一

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◇ 開業カウンセリング機関の現場から ◇
       カウンセリング相談員  伊東 眞行

<開業カウンセリング機関の現況>

 仲間と共に民間のカウンセリング機関(注1)を開業して16年になりま
す。日本ではまだ認知度が低く、開設当初は閑古鳥が鳴いていました。地
道に活動を続けて、心療内科等との連携、事業所従業員の心理相談事業の
契約、EAP機関(注2)からのクライエント紹介などを通じ、徐々に安定
的に存続できるようになってきました。また、自費の場合もクライエント
さんとの信頼関係が成立すると、決して安くないカウンセリング料ですが
継続利用されています。

 ストレス社会といわれて久しくなり、精神科・心療内科はどこも盛況で
す。こころのクリニック、メンタルクリニックというソフトな名称も多く
なり、通院のハードルは低くなっています。クリニックの患者さんが増え
るとともに、カウンセリング機関を利用する人も増えてきています。

 心療内科等でカウンセラーが常駐するところはまだ多くはありません。
患者さんは、信用できるカウンセリング機関を探すのに悩んでしまうのが
現状かもしれません。

 昨今、EAP機関が増えており、企業の健康保険組合とカウンセリング
機関双方と契約しています。この契約によって、企業に勤めるかたがEA
P機関を介してカウンセリング機関を年に数回無料で利用できる、という
システムが普及しつつあります。私のカウンセリングルームも複数のEA
P機関と契約していて、新規の紹介が一定数あります。

<ストレスチェック制度開始の余波>

 昨年秋ごろから、ストレスチェック制度の余波で「高ストレスという結
果が出た」と来所される人が増えてきました。ストレスチェック制度の趣
旨のひとつは、『ストレスへの気づきを促し、一次予防に役立つこと』な
ので、この制度はカウンセリングを必要とする人の掘り起こしにも役立っ
ているように思います。

 来所されたかたの話を聞いてみたら「医師面談でパワハラの現状を伝え
たら、早速全従業員対象のパワハラ研修が行われた」という前向きの話が
ありました。

 一方で、「上司の圧力を感じてストレスチェックに正直に答えにくかっ
た」「高ストレスと出たけれど管理者へ結果を伝えてほしくないので医師
面談は希望しなかった」「医師面談を受けたが、初めから管理者寄りの立
場で助言された」という感想も聞かれました。ストレスチェック制度が有
効に機能するには、まだまだ課題がありそうです。

 ストレスチェック制度をより有効に活用できるよう、カウンセリングの
中で制度の仕組みや趣旨を情報提供したりしています。また、相談内容に
よっては医師面談を受けるよう勧めることもあります。
カウンセリング機関として、ストレスチェック制度の有効活用に寄与して
いきたいと思っています。

(注1)民間カウンセリング機関は、ネットサイト「臨床心理士に出会うに
は」等で調べることができる。
(注2)EAP機関:EAP(Employee Assistance Programの略称)「従業員
支援プログラム」従業員の心の健康をサポートする種々のメンタルヘルス
ケアサービスを提供している。

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◇ キャリア形成と心の景色 ◇
        メンタルヘルス対策促進員  和田 昌子

 キャリアという語源は、「車の轍(わだち)」「通った車が道に残した
車輪の跡」です。キャリアを(狭義の)キャリア=職業、職務、職位、履
歴、進路とするイメージが強いのですが、広義では、キャリア=生まれて
から、死ぬまで。始まりと終わりは、誰かの助けを必要として生きる人生
です。人は社会の中で生きている以上、一人で人生は始まらず、終わりも
しない。

 人生における役割は、複数あり、同時に様々な場面で演じられるもの。
一人の人間でも、家という場面では「家庭人」であり「配偶者」、職場と
いう場面では「職業人」、地域では「町内会役員」などの役割が同時にあ
って、それらを演じている。豊かな人生を送るには、このバランスが大切
といわれています。

 人の助けを必要とするのも、その役割があるのです。年齢を重ねるとな
かなか人様に甘えることも難しいと感じますが、時には人に助けを求める
ことも大丈夫なのです。「自分の人生劇場で、いろいろな役割を演じる」
と表現すると、人生楽しくなってきます。人生、時に身の置き所を探した
り、心のあり方を模索したり。その一瞬一瞬の儚さが、生きている確かさ
でもあります。

 私自身キャリアコンサルタントとしてキャリア形成助成金の一環で、
事業所にお伺いすることが多いのですが、まさに人生劇場そのものを共感
させていただいております時に崩れそうになる心は、悲鳴をあげている
その声を誰よりも聴かなければならないのは、自分自身なのに・・・その
声を聴けなくなるのが、メンタル不調(欝など)。時には、カウンセラー
相手に鏡のように映し出された自分と対峙することも必要かもしれません

 人生は軌跡。どんな人生を歩もうと、それが人生の轍。心の声が聞こえ
るうちに、自己との対話を道連れに人生劇場楽しみましょう。

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◇ストレスチェック制度について◇
  *「こころの耳」に「ストレスチェック制度」についてまとめられて
   います。↓↓↓
    http://kokoro.mhlw.go.jp/etc/kaiseianeihou.html 

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