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京都産業保健総合支援センター メールマガジン  186号
 平成28年度 第11号 2017/2/1
         ホームページ:https://www.kyotos.johas.go.jp
         発行:京都産業保健総合支援センター 所長 森 洋一

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◇京都産業保健総合支援センター ホームページ情報◇
1)オルトートルイジンに対する化学防護手袋の選択、使用等について
                          <2017.1.17UP>

2)厚生労働省 製造業における外国人労働者に対する安全衛生教育
  マニュアルについて               <2017.1.17UP>

3)治療と職業生活の両立支援セミナーの開催について<2017.1.23UP>

4)厚生労働省 有害物ばく露作業報告対象物(平成29年対象・平成30年報
  告) について                  <2017.1.26UP>

5)厚生労働省 特定化学物質障害予防規則第38条の20第3項第2号に定
  める有効な呼吸用保護具の防護係数の確認に関する補足について                          <2017.1.26UP>

6)厚生労働省 「平成28年化学物質のリスク評価検討会報告書」を公表                          <2017.1.26UP> —————————————————————————————————

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◇ 経営戦略としての健康経営 ◇
      労働衛生工学相談員  桑村 明男

ほとんどの企業・団体において、新年度からの経営戦略をほぼ確定した時
期だと思います。組織の命運を左右する経営戦略なので十二分の検討を加
えて策定しておられることと思いますが、その戦略の中に健康経営への取
組みは入っているでしょうか?

健康経営って何だ? あるいは、聞いたことがあるけど内容はよく分から
ない、とおっしゃる経営者がまだまだ多いようです。
健康経営とは、「従業員の健康保持・増進の取組みが、将来的に収益性等
を高める投資であると考え、健康管理を経営的視点から戦略的に実践する
こと」です。
株式会社日本政策投資銀行では、健康経営を「従業員の健康増進を重視
し、健康管理を経営課題として捉え、その実践を図ることで従業員の健康
の維持・増進と会社の生産性向上を目指す経営手法」と定義しています。

企業・団体では、労働安全衛生法第66条で医師による健康診断の実施を
義務付けられていますので、仕方なしに受診させている、単なるコストだ
と考えている、というところが多いのではないでしょうか?
それを経営的に単なるコストと考えるのではなく、長期的なビジョンに基
づき従業員の健康を経営課題としてとらえて健康経営に取り組むというこ
とは、従業員の健康保持・増進、生産性の向上、企業イメージの向上等に
つながるものであり、ひいては組織の活性化、企業業績等の向上にも寄与
するものだと思います。

昨年4月に改訂版が出た経済産業省の「企業『健康経営』ガイドブック
(改訂第1版)」には、「今日、企業・健康保険組合を取り巻く状況は変
化しており、『従業員およびその家族の健康』という要素が、企業経営に
大きな影響を与える可能性が生じている。 例えば、増加し続ける国民医
療費は、健康保険組合等の財政悪化を招き、結果として健康保険料の上昇
という形で企業負担の増加につながっている。また、生産年齢人口が減少
し労働力確保のために従業員の雇用延長等を積極的に図らなければならな
い状況の下であるが、従業員の健康状態の悪化は企業の生産性を低下させ
ることになり、更には、人材の定着率の悪化等、有能な人材の確保にも悪
影響を及ぼす可能性がある」と記されています。

プレゼンティーズム(Presenteeism)という言葉があります。意味は「健
康でない状態で出勤していること」です。組織では、メンバーが体調不良
で休暇を取った時は、補充や応援等で一時しのぎが出来ますが、出勤して
いるけれど何となく能率が上がらない、会議に出ても発言がない、遅刻や
早退が目立つ、といった場合その対応に困ります。原因は頭痛、肩こり、
腰痛、花粉症、メンタル不調等があり、組織の生産性低下と損失をもたら
しています。これらは特に健康問題として意識されにくいといった面があ
ることが、対応の遅れに繋がっています。

今後、産業保健活動はプレゼンティーズム対策を中心とした健康経営の取
組みへとシフトすることは間違いありません。この機を逃さず、経営戦略
としての健康経営に取組むことが重要な課題ではないでしょうか。

紙面の関係で事例等を記すことが出来ませんが、3月16日に「企業の“
健康経営”を意識した健康増進活動」と題したセミナーが当センターで
開催されますので、ぜひ聴講していただければと思います。

・「健康経営」はNPO法人健康経営研究会で商標登録されています
・参考文献
①企業の「健康経営」ガイドブック ~連携・協働による健康づくりの
 ススメ~ (改訂第1版) 経済産業省 商務情報政策局 ヘルスケア産業課
②社員の健康が経営に効く [健康経営のすすめ] 古井祐司著 労働調査会

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◇ 「変わる」勇気 ◇
        メンタルヘルス対策促進員  松川 晴美

 2~3年前に流行した「嫌われる勇気」(岸見一郎、古賀史健著、ダイヤ
モンド社)という本を、読んでみました。最近、本人は私から見れば細や
かな気配りのできる、すごく頭のいい人なのに、「どうせ私なんて」「ど
うせ私の学校なんて」とよく口にする人と会い、どうしてそんなに自分を
嫌ったような言い方をするのか、気になったからです。

 この本を読んで、彼女の気持ちが少しだけわかったような気がしました
この本は、心理学者アルフレッド・アドラーの思想を対話形式でわかりや
すく説明してくれています。それによると優越性の追求も劣等感も病気で
はなく、正常な努力と成長への刺激になるものですが、一方で「劣等コン
プレックス」は「自らの劣等感をある種の言い訳に使い始めた状態」で、
例えば「私は学歴が低いから出世できない」など、「AであるからBできな
い」という(自分が出世できないのは本当に学歴が低いことが理由なのか、
よくわかりもしないのに「見せかけの因果律」に捉われた)論理を振りか
ざしだすと、劣等感はもはや、「劣等コンプレックス」になってしまって
いると述べられています。

 現実としてたとえ学歴の高い人の方が出世できるとしても、「問題は、
そうした現実にどう立ち向かうか」であり、「劣等コンプレックス」を持
つ人は、今のライフスタイルを変える“勇気”を持ち合わせておらず、多
少の不満や不自由があったとしても、今のままでいたほうが楽だからそう
いう言動をとっているのだとアドラーは考えます。

 一見厳しい考え方のようですが、一方で「アドラー心理学は、勇気の心
理学である」とも述べています。詳しい解説は本に譲りますが、もし自分
が「劣等コンプレックス」に捉われているなあと感じた方は、一度「勇
気」を出して一歩踏み出し、「変わる」ことにチャレンジしてみてもいい
のではないでしょうか。「過去と他人は変えられない。しかし、未来と自
分は変えられる(エリック・バーン)」のですから。

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◇復職トレーニング専門デイケア バックアップセンター・きょうと
   からセミナーのお知らせ◇
   「“リワーク施設では何がなされ、利用者は何を学んでいるのか”
            ~リワークプログラムを体験してみましょう」

【日時】:2017年2月15日(水)13:30~16:10(受付開始13:15)
【場所】:栄仁会京都駅前メンタルクリニック
     バックアップセンター・きょうと
【参加費】無料

詳細・お申込み用紙はこちら↓↓↓
 http://info.eijinkai.or.jp/kyoto_info/files/170215_seminar_12.pdf.pdf

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◇ストレスチェック制度について◇
  *「こころの耳」に「ストレスチェック制度」についてまとめられて    います。↓↓↓
    http://kokoro.mhlw.go.jp/etc/kaiseianeihou.html 

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◆産業保健に関する各種研修会のお知らせ◆
    https://www.kyotos.johas.go.jp/training

 ※2月~3月研修会を掲載しております。奮ってご参加下さい。
 ※当センターが実施する「産業医研修会」について、付与できる単位は
  「生涯研修」のみとなります。
  「基礎研修」を受講される方は、京都府医師会主催の研修会をご覧
  ください。
    http://www.kyoto.med.or.jp/member/sports/index.html
◆京都産業保健総合支援センターホームページ◆
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◆図書・教材のご案内◆
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発行人:森 洋一
編集人:真下 尚之 info@kyotos.johas.go.jp 
編集協力:京都産業保健総合支援センター 産業保健相談員
発行/配信:京都産業保健総合支援センター https://www.kyotos.johas.go.jp