バックナンバー

**************************************************
京都産業保健総合支援センター メールマガジン  181号
 平成28年度 第6号 2016/9/1
         ホームページ:https://www.kyotos.johas.go.jp
         発行:京都産業保健総合支援センター 所長 森 洋一
**************************************************
—————————————————————————————————
◇京都産業保健総合支援センター ホームページ情報◇
1)建材中の石綿含有率の分析方法に係る講習会のご案内 
                                                  <2016.8. 4UP>
2)「第10回じん肺診断技術研修」のご案内

                     <2016.8.16UP>
3)厚生労働省 8月以降における熱中症予防対策の徹底について
                    <2016.8.18UP>

—————————————————————————————————

**************************************************

◇ 酷暑の時期の業務と注意点 ◇
        産業医学相談員  長井 苑子

 今年の春から夏にかけての天候はじつに不安定でした。4月半ばに、ま
だ夜になると暖房が必要なこともありました。通常の年には、4月の花冷
えという寒さのときに、暖房までは使わないですんだものです。7月の酷
暑は、毎年、祇園祭りの古典的な最初の巡行がおわってからという覚悟で
のぞんでいたものです。今年は、7月にはいってすぐに、酷暑がおそって
きました。台風の発生もおそいけれど、一度発生すると、水害をもたらす
確率は増えているようにも思います。温帯ではなく、亜熱帯気候になって
いるのでしょうか?

 職場でも、この季節のひとつの問題は、冷房の温度です。個人差があっ
て、とてつもない低温でないと仕事の能率があがらないとして、21℃くら
いで部屋を維持している人がいます。一般には、26℃くらいにしてなんと
かしのいでいるのがふつうです。われわれのような医療機関では、患者さ
んの待合室の温度設定と風速、風量設定はむつかしいものがあります。高
齢女性の多くは寒がりますし、一方、男性のかなりは暑がります。診察室
にこられて、温度設定に留意してほしいと訴える人もおられます。診察室
もせまい部屋ですから、背後の上方に設置されている冷房からの冷気が、
われわれの足元に吹き降りて、足が冷えてしまうこともありますし、肩先
に冷気がふきつけて、これで風邪をひくこともあります。そこで、われわ
れは、サーキュレーターを設置して、冷気を攪拌して患者さんと診療者に
直接あたらないように工夫しています。小さな扇風機による別方向からの
攪拌も、風通しをよくしてリフレッシュ感を感じさせるよい方法です。診
察がたてこむと、医療者も水分をとりわすれて、一日の外来がおわるころ
に、急に全身倦怠感や筋力の脱力感をおぼえて、しまった、熱中症ではと
おもったことがありました。そこで、できるだけ水分をとることを忘れぬ
ように、さらには、OS1という補水液を準備していることもあります。

毎日の小さな工夫と留意によって、酷暑の時期にも、まちがいのない業
務ができるようにと心がけておきたいものです。

**************************************************

◇ 相談室の現場で思うこと ◇
       メンタルヘルス対策促進員 花谷 和雄

 いま在籍している相談室の勤続年数が早くも12年になりました。この
間、様々な方が来室してこられました。また、相談内容も以前に比べると
少しではありますが変化を感じます。それでも変わらず多い相談内容が職
場の人間関係です。単に「職場の人間関係」といってもその内容は、限り
なく多様です。人間関係と言えば常識的には、上下関係、同僚との関係に
尽きる訳ですが課題の発生のプロセスは、かなり複雑です。現実には、職
務からまた、組織から発生する課題が人間関係をより複雑にしているから
です。
このことについては、機会があれば実例を交えて述べたいと考えています。
 普遍的に言えることは、既に皆さまご存じの通りやはりコミュニケーシ
ョンの善し悪しが人間関係に大きな影響をもたらすと言うことでしょう。
ただ、最近気になることが出て来ています。それは、「私は、コミュショ
ウです。」と言い切る来室者が多いことです。念のため、「コミュショ
ウ」とは、「コミュニケーション障害」のことで特に若者達の間では、広
く使われているようです。
 昨今、精神医学が発達し、また脳科学が進歩してきて今まで仮説でしか
なかったことが立証されたり今までの常識が覆されたりしています。 た
だ、マスコミが検証も十分でない学術論文を興味本位で取り上げてど派手
に喧伝する情報を鵜呑みにして信じてしまっている人が多くいる現実があ
りこのことは、危険でもあるし残念でもあります。
 医学が発達して人類の福祉に役立つことは、喜ばしいことだとは思いま
すが同時に正確な知識が不可欠だと思います。 昨今、精神医学において
は、特に「・・・障害」と言う言葉が一人歩きしているように思えてなり
ません。情報の普及によって今までわからなかったことがわかり易くなっ
てきたことは、有り難いことですが同時に情報過多になってどの情報が
正確か、判断することが難しくなってきている状態も起きています。
相談室の来室者に限らず精密な診断を受けた訳でもないのに「私は、アス
ペです」「私は、発達障害です」「私は、コミュ障です」と自ら言い出す
人が多くいるのに驚かされます。それも深い意味や理解があって使ってい
る訳でもなくごく自然にこれらの用語が使われることに改めて時代の変遷
を感じます。
 私が相談室の担当となった頃は、人目を避けるようにして来室する方が
多くいらっしゃったのですが最近は、周囲の目を気にすることなく来室さ
れるかたが増えたことは喜ばしいことですしメンタルヘルス上の課題を
オープンに話せる土壌が生まれてきたと感じて素晴らしい進歩だと思うの
です。
ただ、残念なことにこれらの用語を使う人たちが「職場の人間関係」と言
う大きな課題から逃れたいための方便として使っていることが少なからず
あると感じることです。つまり自分は、「・・・障害」だからコミュニケー
ションがうまくいかないのは病理のせいだと主張していることが多いよう
に感じます。
 勿論、人は、いつでも課題に正面から立ち向かえる訳ではありませんし
逃避も重要な手段だと思います。しかし、来談者が逃避に終始するのでは
なく、課題と対峙して解決を図るためのサポートを何処まで出来るかが相
談員の課題となってきていています。
相談員の仕事は、やり甲斐のある反面、相談員のあらゆる面での向上が求
められていると実感しています。

**************************************************

◇ストレスチェック制度について◇
 *「こころの耳」に「ストレスチェック制度」についてまとめられて
  います。
  →http://kokoro.mhlw.go.jp/etc/kaiseianeihou.html 

 *ストレスチェック」実施促進のための助成金について     http://www.johas.go.jp/sangyouhoken/stresscheck/tabid/1005/Default.aspxl 

**************************************************

◆産業保健に関する各種研修会のお知らせ◆
    https://www.kyotos.johas.go.jp/training

 ※9月~12月研修会を掲載しております。奮ってご参加下さい。
 ※当センターが実施する「産業医研修会」について、付与できる単位は
  「生涯研修」のみとなります。
  「基礎研修」を受講される方は、京都府医師会主催の研修会をご覧
  ください。
    http://www.kyoto.med.or.jp/member/sports/index.html
◆京都産業保健総合支援センターホームページ◆
    https://www.kyotos.johas.go.jp
◆京都産業保健総合支援センターご利用案内◆
◆図書・教材のご案内◆
    https://www.kyotos.johas.go.jp/material
◆産業保健新着情報◆
    https://www.kyotos.johas.go.jp/archives/news
◆メンタルヘルス対策支援サービスのご案内◆
    https://www.kyotos.johas.go.jp/mental
◆メールマガジン(バックナンバー)◆
    https://www.kyotos.johas.go.jp/mailmagazine/back-number
**************************************************
メールマガジン配信のお申込み、お断り、お問い合せ、ご質問等は
京都産業保健総合支援センターまで
  ○MAIL:info@kyotos.johas.go.jp 
  ○TEL:075-212-2600 FAX : 075-212-2700
**************************************************
発行人:森 洋一
編集人:真下 尚之 info@kyotos.johas.go.jp 
編集協力:京都産業保健総合支援センター 産業保健相談員
発行/配信:京都産業保健総合支援センター https://www.kyotos.johas.go.jp